第七十六話 セールプラン
| デイセーラーのセールプランは殆ど、セルフタッキングジブと大きなメインです。ご存知の通り、セルフタッキングジブはタッキングが簡単。舵操作だけで、セールは右から左、左から右へと移動します。しかも、セールは一般的なヨットのジブより内側に引き込めて、上り角度も良くなります。これがメリットになりますが、反面、デメリットもあります。 ジブのレールはセールが左右に移動する為にありますが、例えば、上りは良いとしても、角度を落として行く場合、セールを外側に出しますが、その際、シートのリード位置は、このレールの端に固定されます。それ以上は出せないし、通常のジブトラックの様に、リードブロックを後方に下げる事もできません。できる事は、シートを緩めて、セールを出す事はできますが、シートのリード位置を変える事ができない。これはデメリットです。しかし、メリットの方を優先させています。 さて、元々ジブセールは上り用セール。セルフタッキングジブはそれをさらに強調しているとも言えます。よって、この事は、一般ヨットでも言える事ではありますが、第三のセールを使うという前提があると思います。それはコードゼロであったり、ジェネカーだったりです。一般ヨットのジブは、角度を落としていくにおいて、セルフタッキングジブよりはましという程度で、やっぱり第三のセールを使った方が良い。 但し、ジブブームを持つセルフタッキングジブでは、ブームがあるお陰で、これはメインセールと同じですから、セールを開くにしても、セルフタッキングジブのデメリットを克服しています。よって、こういうヨットでは、メインとジブだけで、あらゆる角度に対応できて、第三のセールを必ずしも必要とはしません。ただ、ジェネカーやコードゼロを使うそのパフォーマンスにおいては、セール面積が全くちがいますので、やはり第三のセールは必須では無いにしても、メリットがあります。 ジブは小さい、その代わりメインはでかい。よって、シングル時では、ジブはそこそこにしておいて、メインセールを主に操作して遊ぶ。大きいだけにその効果も大きい。それに、コクピットの中央にあり、舵を持ったまま手が届き、パッと操作できます。そして、その瞬間の変化も解ります。舵を取りながら、引いたり出したりで、その変化を簡単に楽しむ事ができます。余裕がある時なら、その他の艤装も簡単に操作できます。 デイセーラーは操作して楽しむヨットであり、その操作を楽にできる事が重要であり、操作しないで良い”楽” を求めるわけではありません。、如何に自分の操作で走らせるかを楽しむヨットです。 結局、何が面白いかというと、結果としてスピードはもちろん重要ですが、その前の、そのスピードに至るプロセス、つまり、自分が如何に操作をしてきたか、その結果によるスピードですから、自分がしてきた操作が重要だと思います。絶対スピードは風次第です。でも、その風速において、自分の操作いかんによって、スピードが上がったり、下がったりします。軽風においても、自分の操作でスピードが上がると、面白さを感じます。重要な事はいかに操作をしてきたかではないかと思います。つまり、何が面白いかは、自分の操作を楽しんでいる。ですから、操作しないで良いというのは、面白さが減じられる事になるかと思います。だからと言って、忙しい程操作が必要なら、それはそれで困ります。だからほどほどに。楽に操作ができる。それがデイセーラーだと思います。 デイセーラーは、誰もができる簡単操作でもセーリングを楽しめる。しかし、その気になったら、もっと操作をして、もっと楽しめる。初心者も楽しめれば、ベテランにとっても面白い。セーリング重視のヨットですから。 ついでながら、デイセーラーには普通ワンポイントリーフしかありません。２ポイントが無い。オーダーすれば可能ですが、必要無いと考えています。何故なら、２ポイントしなければならない様な強風では、セーリングしても辛いだけですから。レースだって中止になるでしょう。そんな強風にまで達する様な時は、セールを下ろして帰った方が良い。それでも走らなければならない様な理由はデイセーラーにはありません。 |