第十三話 レーサークルーザー

クルージングもするけど、たまにレースも出る。或は、レースで無くても、セーリングを重視する。そういう分野に応えるのがこのジャンルです。沿岸艇と何が違うかと言えば、船体は比較的軽めに造り、でも、帆走重視ですから、船体は強固にする。どこまでするかは造船所次第ですが、帆走重視の場合は、船体は軽く、でも強固にした方が良い。

キャビン内の設備は、シンプルなヨットから、クルージング艇に負けない充分な設備のヨットまであって、多分、内装まで充実させているこのジャンルのヨットは、外洋性をも考えて建造されているかと思います。レーサークルーザーと言っても幅があり、よりレーサー寄りから、外洋艇寄り迄あります。しかし、いずれにしろ、帆走性能を重視しています。

内装は兎も角、これらに共通している事はセーリングを重視しているという事で、当然ながら、排水量/セール面積比は高くなるし、排水量も同サイズのクルージング艇より軽く造られます。もちろん、強固にもします。クルージングもするけど、帆走も楽しみたいという方々向けです。

デッキ上のあきらかな違いは、メインシートの位置にあります。クルージング艇では、メインシートをキャビン入口の向こう側にトラベラーを設置して、コクピットには邪魔ですからありません。一方、レーサークルーザーの場合は、メインシートをコクピットやもっと後部側に設置しています。これは、ブームのできるだけ後部側からシートを引く為です。その方が効率が良い。

レーサークルーザーというレースという言葉が入っていますが、これはスポーツと言い換えても良いかと思います。スポーツクルーザー、或は、セーリングクルーザーと言っても良いかもしれません。セーリングはレースに限る事ではありませんから。

欧米人がヨットを別荘替わりにも使うという事を前記しましたが、日本人はそれは少ない。ならば、クルージングとセーリングという事で、クルージングもするけどセーリングも楽しみたいという考え方になっても良いのではなかろうか? そうすると、こういうセーリングクルーザーの方が使い勝手があるのではないかと考えるのですが?

普段は近場でセーリングを楽しんだり、レースを楽しんだり、それなら速い方が面白い。そして、クルージングにしたって、これで充分行けます。内装はシンプルから充実したヨット迄、幅広くあり、沿岸クルージング想定もあれば、外洋クルージング想定のヨットもあります。

多くの場合で、クルージングにはエンジンを使う。沿岸クルージングの場合は大抵はそうです。と言うことは、この場合におけるセーリング性能は関係が無い。と言いますか、セーリング操作を考える必要は無い。セーリングを重視するのは、近場でのセーリングです。近場ではデイセーリングを楽しむ。こういうヨットでは、両方をより高いレベルで楽しむ事ができます。

但し、シングルハンド仕様では無いので、少なくとも二人以上でのセーリングという事にはなろうかと思います。もし、固定のセーリング仲間が居るのなら、クルーとして一緒に走ってくれるなら、日本人にとっては、沿岸艇より、こういうヨットの方が合うのではなかろうか? 

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