第三十三話 デイセーラー
| デイセーラーとは、車で言う処のスポーツカーみたいな物。たいそうな準備も必要無く、気軽にセーリングというドライブ感を味わってくる。しかし、それだけでは味気ないかもしれないので、より楽しめるようにとちょっとした工夫もあると良い。 あれば良いなと思うのは、風向風速計とスピード計、ついでにデプスも入れておきますか。GPSは無くても良いかな。それと、オートパイロットは通常は要らないが、場合によってはメインセールを上げる時とジェネカーをシングルで使うならあった方が良いかと思います。 それと音楽も欲しい。 ギャレーも要らないし、冷蔵庫も要らない。走る時はソフトタイプのアイスボックスをコクピットに転がしておくと良い。シンプルであればある程、気楽にセーリングを楽しむ事ができる。トイレも殆ど使う事は無いのだが、でも、これは万一を考えればあった方が良いかな？でも、だいたい皆さん使っていない様です。 しかし、セーリングには少しこだわりたい。もし、可能なら、セールはクロスカットのダクロンより、ちょっとでも良いセールであった方が、セーリング自体のフィーリングも違って来る。もちろん、ハイテクセールならばもっと良い。 ハイテクセールは寿命が短いと敬遠されるが、でも、トップクラスの性能を維持するのは難しくても、レース三昧じゃ無い限り、長く使う事もできる。それでも、ダクロンよりは走りが良い。だから、そんなに寿命を気にしなくても良いんじゃなかろうか。もちろん、予算の問題もありますが。 もし、セールをハイテクにしたら、気をつけなければならないのが、ハリヤード。伸びにくいセールに通常の伸びるハリヤードではせっかくのセールが泣いてしまう。それで、ついでに、ハリヤードもハイテクのダイニーマにすると良い。 レーサーじゃないからそこまでは？という向きもあるかもしれないが、レーサーじゃ無くても、質の高いセーリングを味わ事に疑問を挟む必要は無い。セーリング重視するなら、やはり良い物は良い。それで、セーリングの味わいは違って来るのだから。もちろん、求めればキリは無いが。 何が必要で、何が無駄か？ あおれも付けよう、これも付けようという考え方を超えると、何が不要であるのか、無い方が良いのかという考えも出てくる。そこに至るや、自分スタイルの出来上がり。 後は、楽しむだけであります。 家族の為にと、あれこれ考えても、家族なんて進水式以降は殆ど来ない。そんなものであります。何故か？ 女性は紫外線に弱いし、マリーナは楽しい場所でも無い。ヨット好き以外が遊べる場所では無い。 だから、我侭に、自己流で、自分スタイルを創る。それが自分自身をもてなす方法ではなかろうか？ 本当はもっとファミリーセーリングなんかがあった方が良いとは思っています。でも、現実には、そんなものは殆ど無い。という事で、最近は、殆ど男ばかりの世界になってきた。これもまた寂しいですね。 セーリングガールも増えて欲しいものです。シングルハンドの美人が、デイセーラーを簡単に自由自在に走らせる。そんな美しい光景も見てみたい。海にも花が咲きます。 デイセーラーはスポーツカーでドライブを楽しむのと同じです。ただ、ホームポートから遠くを目指すわけで無いので、周りの景色が変わるわけじゃない。いつも見慣れた風景です。だから、風景を楽しむわけにもいかないが、それだけに、セールフィーリングを重視して、そこに多くを感じたい。ゲストが居ないシングルの時は、セーリングを如何にと考えたい。上手いとか下手とかが問題では無く、セーリングを楽しもうと思えば、それで充分楽しめる。もちろん、徐々に上手くなれば、それに応じたレベルの高いセーリングも味わえる。重要な事は、意識がどこにあるかではないかと思います。 セーリングなのか、ゲストとのおしゃべりか、食事か、BGMか、風景か・・・・・？ どれでも良いが、 意識した事に多くを感じます。その場、その場で、臨機応変に。何を自分が意識しているかを意識するのも良いかと思います。今日はゲストが来るから、ゲストを楽しませる事を意識する。シングルの時はセーリングを意識する、等々。 デイセーラーのセーリングは、気軽に、セーリングのスピードと質を味わう事。大胆さから繊細なセーリングを味わい、操作する事。そのフィーリングを楽しむ事。この事はセーリングを単なるレジャーの楽しさに留めておかない。それは趣味の世界。趣味だからこそ、そこに進化を味わえる。だから面白い。デイセーラーこだわるのは、それらを気軽に、ひとりでも可能にするから。あらゆる使い方の中で、最も制約が少ないから。 |