第百話 ちょっと一息

   
    
    ここまで、40フィート未満のデイセーラーについて見てきました。もちろん、他にもいろいろあります。
    Beaufort,ERYD,Senseiとか言う名前のデイセーラーもあります。Tofinou,Esse、Saffire,J100,
    Ringle,Fantail Rosso 等々、まだまだあります。

    これまで見てきて解る事は、いろんなサイズもさる事ながら、パフォーマンスにおいては、実にバラエティーに
    富んでいるという事です。SADRが15辺りから、40までありました。15だと本格外洋艇のパフォーマンス
    レベルですし、40ですと、その辺りのレーサー顔負けです。これだけのパフォーマンスバリエーションは他の
    ジャンルのヨットには有りません。サイズも20フィートから60(後述)フィートで、セーリングについては、
    殆どを網羅しています。 しかも、全てシングルハンド仕様です。

    クルージングも良いでしょう。でも、もし、面白いセーリングを、自由自在に堪能したかったら、デイセーラーは
    最高の道具になると思います。気に入ったデザイン、気に入ったサイズ、気に入ったパフォーマンス, そして、
    それを自由自在に走らせる事ができる。セーリングにおいて、こんな面白い事が他にあるでしょうか?
    でかいキャビンで過ごすのと, どっちが面白いかはあきらかだと思いますが、如何でしょう? 

    マリーナに来て、シングルで堪能するのも良いし、友人と一緒でも、さっと出して、スイスイ走り、そのドライブ感を
    味わいます。短時間でも、自然の中で夢中になって走れる味わいは、ストレスの多い社会にあって、最高の癒し
    にもなると思います。ストレスを解消するのは、のんびりなんかするより、別の何かに夢中になった方が効果的
    なんだそうです。最高のリフレッシュにもなります。のんびりするのは、肉体的に疲れた時でしょう。

    でも、そんなヨットは難しそうとか言われるかもしれませんが、操船に関しては、最も簡単だと思います。
    シングルで操作できるように造られてます。そして、シングルだからこそ、高い安定性を確保し、より気軽に
    セーリングを楽しめるように造られています。実際乗られると解りますが、海面が近いだけでも、フィーリングは
    全然違うものです。それを味わって頂きたいと思います。セーリングはフィーリングが大事だと思います。

    多くの方々が、セーリングそのものを楽しまれるようになってきました。自分の操作で、スピードが出たり、遅く
    なったり、ヒールしたり、戻ったり、そういう事がありありと操作において感じられます。乗れば、セーリングが
    もっと解ってきますし、解るほどに、面白さを増幅させていくと思います。セーリングの面白い処は、その時々の
    偶然の風によって快走セーリングを味わう事だけにとどまらず、そこから、徐々に、自分が上手くなっていく
    プロセスを楽しめる処にもあると思います。観察して、考えて、こうして、ああしてと、その結果思った通り速く
    なったとか、なるほどね〜とか、そういう事がゲームになり、面白さになると思います。偶然の良い風頼りでは
    ありません。偶然の風はあてにならないものです。微軽風は微軽風なりのセーリング、中風、強風とそれなりの
    セーリングをあるがままに楽しむ事ができるようになります。

    セーリングのレベルは、 初心者であっても、超ベテランであっても、そこからスタートすれば、どのレベルでも
    楽しめます。重要な事は、どのレベルかというより、自分自身の進化のプロセスなんだろうと思います。
    それがセーリングの面白い処であり、その為のデイセーラーでもあります。本当の面白さは、上手くなっていく
    自分自身にあるのかもしれません。それをセーリングという手段で味わうという事かもしれません。

    ヨットって、いったい何だろう? セーリングって何だろう? 純粋な遊びであるという事に疑いはありません。
    そして、遊びならば、それはセンスに関わる。個人の遊びに対するセンスです。仕事をバリバリやって、そして、
    純粋な遊びに夢中になれる。どんな遊びに夢中になれるか? これは遊びのセンスの問題だろうと思います。
    セーリングを知的に遊びませんか? セーリングをスポーツしませんか? セーリングを散歩しませんか? 
    セーリングをデートしませんか? セーリングを家族団らんしませんか? 友人を楽しませませんか?
    セーリングで無心になりませんか? セーリングはオーナー次第で、何にでもなれると思います。
    セーリングはセンスを遊ぶ事だと思います。


    さて、世界のデイセーラーは40フィートにも留まりません。どんどん進化しています。今日では、60フィートの
    デイセーラーまで建造されています。デイセーラーで60フィート? 日本の常識では有り得ないかもしれません。
    でも、その60フィートをシングルハンドで楽しむ人達も居ます。確かに、マリーナからの出し入れには慣れが
    必要でしょう。でも、出してしまえば、意外にも操船は楽です。出すのも、風圧面積は低いし、舵効きは抜群だし、
    安定性ももっと高まります。バウスラスターという手もありますが、クルージング艇に比べたら遥かに楽です。
    そして、セール操作は全てボタン操作です。楽に操作して、快走を味わう。そして、サイズを大きくする事で
    得られるメリットがあります。デイセーラーはサイズが問題ではありません。
    コンセプトであるセーリングが重要なのです。

    次の章では、40フィートオーバーのデイセーラーをご紹介したいと思います。 そして、サイズアップする事で
    生まれるメリットもご紹介したいと思います。
    


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