第二十五話 シングル

考えてみますと、ひとりになる事って無いですね。お風呂とトイレぐらいでしょうか? 仕事場でも、自宅でも、いつも、誰かが居ます。だからこそ、シングルって、貴重です。独身という意味ではありません。シングルハンドです。当然。

常にではありませんが、いつでもシングルを可能にしておくと良いと思います。いつでも出せるとか誰でも招待できるという事は言うまでもありませんが、ひとりで、散歩セーリングができる。スポーツも出来る。自由にできるという事が重要で、心に余裕を与えてくれます。ヨットに乗る時、いつも、よし行くぞという気持ちばかりではありません。何となくという時もあります。そんな時、いちいち誰かに電話するのも面倒くさい事もある。でも、シングルだったら、ぶらりと出して散歩してくる事ができます。人を誘うって、結構たいそうに感じてしまうかもしれません。誘われる方だって、その気になれない事もあって、悪く無いのにごめんとか言う事になります。だから、結構難しいんですね。

家族が一番良いのですが、家族は来ない。それで、やっぱり、シングルで気軽な散歩セーリングを楽しめるようにしておきたいと思います。マリーナに行って、良い風吹いてて、即出せるように。
シングルさえ容易にしておけば、全てが容易になると思います。

軽快に走るセーリングに、爽快感を感じます。考えてみたら、自分だけ別世界に居るんです。この時ばかりは、陸上の事を全て忘れて、風とセールとスピード、流れる波を見て、感じるだけですね。こんな事、陸上では味わえないわけで、しかも、シングルですから、どんなセーリングをしようが自由です。走りながら、音楽を聴いても良いし、歌っても良いし、ゆっくりでも速くでも良い。交通混雑も無いし、どっちに向かっても良い。

日常的なシングルの散歩セーリングを基本にしてみたらどうでしょう? たった2時間とか3時間程度です。きっと面白いという感じが獲得できるのではないかと思うのです。

ひとりですから話し相手が居ません。という事は、海を眺めて、風を見て、舵操作やセール操作をするしかありません。すると言っても、軽〜く、気の向いた程度。でも、ちょっと速くなったり、遅くなったりもします。ちょっと加速感なんか感じますと、おおっと、良い感じ。ちょっとシート引いて見る。そのうち、セーリングについて少し考えるようになって、それを試したりなんかします。何てったって、シングルですから、他にする事ありませんから。でも、この事が面白さへ入り込んでいく事になるかもしれません。

シングルの散歩セーリングは、散歩でありながら、気軽なスポーツにもなるし、軽い緊張感もあって、これを自分のものにしておくのは、全体のヨットライフに多大な影響を与えるのではないかと思います。シングルがあるからダブルがあり、ゲストとの楽しみもあります。

近場ですから、見慣れた風景。ですから、風景見ても変化は無い。でも、セーリングはいつも違います。ですから、頭も心もセーリング自体に向かいます。そこにシングルですから、必然的にセーリングが重要になります。だから、セーリングの面白さを発見するチャンスなのであります。是非、シングルの散歩セーリングを、出来れば頻繁に行っていただきたいと思います。

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