第八十四話 他のジャンルとの比較

デイセーラーの事ばかり書いてきましたが、他のジャンルのヨットと、実際、どれだけ違うのか? それを知るのも参考になるかと思います。もちろん、多少の差異はありますが、だいたいの処で、比較してみたいと思います。

まず、一般的30フィートクラスのクルージング艇、幅を見ますと、だいたい3.3m〜3.4m辺りです。これがデイセーラーですと、2.5m前後、幅で80cm程違いますから、これはかなりの違いです。レーサークルーザーになりますと、わずかに細身ですが、それでも、3.2m程度。デイセーラーのスリム度が解ります。さらに、フリーボードのデータはありませんが、デイセーラーはかなり低いです。つまり、全体ボリュームが全然違います。

排水量を見ますと、クルージング艇ではだいたい5,000kg未満。4、700とか4,800とかで、デイセーラーは、それこそいろいろありますが、重い方で3,000kg未満です。ここで、約2,000kgぐらいの重量差があります。レーサークルーザーはその中間ぐらいで、4,000kg未満ぐらいです。

次にセール面積を見ます。クルージング艇のセール面積は、だいたい、50u弱、レーサークルーザーは60u強、そして、デイセーラーは最も小さく、40u前後ぐらい。それで、クルージング艇のSADRは約17前後、レーサークルーザーは25強、そしてデイセーラーは20強程度。(デイセーラーは、排水量の重い方で、マイルドなスポーツ性を持つデイセーラーで比較しています)

クルージング艇      排水量:5,000kg弱 セール面積:50u弱  SADR:17前後
レーサークルーザー        4,000kg弱         60u強  SADR:25強
デイセーラー             3,000kg弱         40u前後 SADR::20強

もちろん、個々によって異なりますが、大雑把、こんな感じです。クルージング艇はそのボリュームや装備からしても重くなるのは当然ですし、レーサークルーザーは装備はシンプルになりますが、それでも、ボリュームからしても重くなります。それに対して、どういうセール面積を持たせるか?それぞれ目的が異なりますので、違って当然ですし、どれが良いとかいう問題ではありませんが、実際の使用を考える時、これらの差異が、大きく影響を与えると思います。

例えば、今、クルージング艇に乗っていて、その帆走性能に満足しているとすると、もし、デイセーラーなら、同じ帆走性能だとしても、もっと楽に乗れるという事になります。或いは、もっと速いデイセーラーでも、気軽になれます。但し、キャビンを多少我慢すればです。

デイセーラーはセーリングを楽しむ為のヨット。従って、最も軽く(本格レーサーは別です)、セール面積は最も小さい。でも、パフォーマンスはクルージング艇より高く、この例ではレーサークルーザーよりは低いですが、もちろん、同等レベルもありますし、それよりもっと高いSADR30とかもあります。それでも、セール面積はレーサークルーザーよりは小さくて済む。多くは、クルージング艇のセールより小さいです。

結局、セーリングをレースでは無く、個人的に楽しむうえにおいて、幅が狭いので、シングルで手が届くとか、セールは小さ目で操作し易いとか、それでも、高いパフォーマンスを得られるのがデイセーラーです。そういう目的でデザインされています。その代り、キャビンスペースを犠牲にしています。どういう用途を持つかになります。デイセーラーは、セーリングそのものを楽しんで頂きたいというヨットです。
もちろん、レースしても良いし、ピクニックでも、散歩でも、デートでもクルージングしても良い。でも、できれば、セーリングそのものを軸として頂ければ、デイセーラーの最大の特徴を御堪能頂けるのではないかと思います。




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