第八十七話 ディナミカ940

イタリア人は速いのがお好き? 多くのイタリアンヨットは速いです。レースするわけで無くても、速いのが好きみたいです。このデイナミカも例外ではありません。排水量は2,200kgですが、そのうちバラスト重量が1,170kgを占めます。バラスト比は53%にもなります。セールプランは三つあって、イラストを下記に掲載します。このセールプランによって、SADR値は違いますが、最少セールプラン49.3uでSADRは29.4、中間セールプラン55.50uでは33.2、最大セールプランでは35.8にもなります。軽風にもかなり速い。最大セールでも、レーサークルーザーより小さい。最少サイズがクルージング艇ぐらいです。でも、速い。

30フィートクラスで、排水量からバラスト重量を差し引きますと、軽いヨットで、だいたい1,000kgぐらいです。その重量を、どの様に造るか? バウキャビン無しとか、船内をよりシンプルにとか、造船所によっていろんな方法があります。ディナミカでは、内装のシートや棚等々、全て船体と同じ様にFRPのサンドイッチ構造にして、バキューム/インフュージョン工法を取っています。だから、ひとつひとつがとっても軽く、硬い。さらに、要所にはカーボンを使って強化。軽く、硬い船体です。そこに重めのバラストを設置しています。ここがデザイナーの意図ですね。

この様な速いヨットを建造する理由は、ひとつはレースを楽しむ事。とは言っても、その割合は20%程度で、80%ぐらいは、シングルハンドセーリングとかファミリーセーリングとかになるそうです。二つ目の理由は、そんな時でも速いのが好きなイタリア人という事でしょう。速いヨットを造るには、排水量もあるが、バラスト重量も重要。セールは大き目です。でも、リーフで対応すれば良いという考え方。ディナミカはバラストが結構重いので、高い復元性を持ちますから、フルセールで速いし、リーフしても速い。レーサーじゃないからレーティングも関係無い。もちろん、シングルハンド仕様です。

つまり、レースであろうと、無かろうと、速いヨットを走らせるのが気持ち良い。特にそういう方にお勧めであります。反応の良さは、操船して面白さを感じます。流石は、フェラーリの国ですね。

  
  
  
  
  
  ビデオではリフティングキールや電動モーターになっていますが、固定キールやディーゼルエンジンも可能です。

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