第九十五話 ヨットとスピード


      
ボートならいつでも任意のスピードを得る事ができます。スロットルをちょいと上げれば、それだけで10ノット、20ノットと好きなスピードに上げる事ができる。しかし、ヨットは風次第ですから、どんなに速いヨットで、プロが操船しても、風が弱ければそれなりのスピードしか出ない事になります。

という事は、セーリングにおけるスピードはある一定のスピードを楽しむというより、その日の、その風の下で、どういう走りをする事ができるか? それがセーリングの面白さという事になると思います。軽風なら軽風の、中風なら、強風なら、それぞれのセーリングを楽しむ工夫をした方が良いという事になります。

中風なら誰でも楽しめる。しかし、微軽風なら、第三のセールを展開するかもしれない、強風なら、風を逃がす工夫をし、リーフをし、セーリングを自分のコントロール下に置けるようにする。つまり、いかなる風速でも、制御している走りとその感覚を楽しむのがセーリングというスポーツという事になると思います。

これには頭脳を使い、その走りを感じます。上手くなれば、より幅の広いセーリングをも制御できるようになって、面白さが広がります。ヨットにおけるスピードは、絶対値としてのスピードでは無く、スピードを自在にコントロールしているという処に面白さがあるのだろうと思います。つまり、高速だけが全てじゃ無いと思うわけです。

その為に、どんな性能を持つヨットであるかは重要であり、自分にとって鈍いと感じるヨットでは無く、鋭敏過ぎるヨットでも無く、程良い処を見つける事が重要で、SADR20前後は多くの方々に受け入れられるレベルだろうと思います。

ちなみに、写真はイーグル36、SADRは23.3です。

        

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