第三十三話 上質を味わう



      
セーリングするという事は、どこかに行く目的でするか、レースにおける競争としてのセーリングか、或いは、純粋にセーリングそのものを味わうかになると思います。そして、セーリングをスポーツしますと、意識がセーリングにより多く注がれて、セーリングをより多く感じ取る事になります。それを楽しむのが目的です。それだけにセーリングの質が重要になってきます。

ヨットは動けば良いというレベルなら簡単なのですが、最初はそれでも充分楽しめますが、慣れてきますと、それでは物足りなくなってきますので、レベルを少しづつ上げていく。それは自分の腕の上達を促しますし、また、同時に自分の感性も洗練されていき、より繊細さも解る様になってきます。それが自分自身のセーリングの質を上げていく事になると思います。

そして、もうひとつは、ヨット自体の質です。ヨットはきちんとメインテナンスをしていけば、いつまでもその質を含めた性能を維持する事ができます。しかし、本来ヨットが持つ質は、人間と違って上げていく事はできません。もちろん、追えばキリはありませんが、できるだけ上質のセーリングを味わいたいと思います。

それは決して速いスピード性能とかを意味するものでは無く、どんな性能であろうが、いわゆる造りの良さ、構造、工法、素材、職人の施工技術等の高さです。これはそのヨットを所有する限り付いて回るものです。もちろん、追えばキリがありませんが、できるだけですね。サイズの大きさよりも質の方を優先したいと思います。自分のセーリングを通じて、自分のヨットの上質感を味わえたら、これは本当に気持ちが良いです。それがピクニックセーリングであっても感じられます。

        

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