第七十八話 心地良いスピード



      
スピードは重要なセーリングの要素のひとつです。 でも、相対的であり、個々人、自分が楽しめるスピードというのがあります。10ノット以下のスピードで充分楽しめるか? あるいはそれを超えて、15ノット、20ノットを目指すのか? 

速いヨットを造るには、より軽い船体により大きなセールを設定する。しかし、それをすると引き換えに失うものもあります。軽くする為に積層を薄くすると、何年か後の耐久性はどうなるか? 或いは、ハイテク素材を使うと値段が上がる。 それに、居住性等々も引き換えに犠牲にせざるを得ない。おまけに操作性はどうなるか? つまり、クルージング艇にはハイスピードは不向きとなります。

どういうレベルのスピードを求めるか? 特別に強風で走る時では無く、平均的に吹く風において楽しめるスピードはどの程度なのか? それと、居住性、操作性、耐久性、価格とのバランスが生まれます。何かを取れば、引き換えに何かを失う。 何を優先して、何を捨てるか?

もし、ハイスピードで、居住性が高く、価格が安いなら、耐久性を犠牲にしているかもしれません。耐久性も高いなら、価格が高くなる。いろんな要素のバランスでできてます。もちろん、高い低い、良い悪いの両極では無く、中間もあるわけですが。残念ながら、ヨットはあらゆる面でパーフェクトはあり得ないです。だからこそ、何を優先するかという事が重要になると思います。

ところで、普通走るスピードは水線長(フィート)をルートして、それの1.34倍、つまり、水線長が28フィートだとすると、√28 X 1.34=7.1ノットがマックスです。(理論上)。それ以上を狙うにはヨットが滑走状態にならなければなりません。その為にはより軽く、より大きなセールで、船底もフラットに。 より小さな力で、早く滑走状態になれるようにという事になります。

        

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