第九十二話 好きなデザインで選ぶ



      
デイセーラーが一般的なクルージング艇より帆走性能が高いのは当然として、それをシングルハンドで簡単に操作できる。これがデイセーラーの基本的な要素だと思います。それで、今日、いろんなデイセーラーが建造されるようになりましたが、この基本的な要素以外は何だろう?

その違いは、スピードとデザイン、見た目の美しさの違いになると思います。今日、レーサーの域に達するデイセーラーもあります。それらのハイスピード艇は見た目にも明らかです。いかにも速そうとだれもが感じます。つまり、見た印象でかなりの事が解るもんです。恐らく、そういうデザインが好きな方は、きっとハイスピード好きなんだろうと思います。



つまり、デイセーラーに関して言えば、好きなデザイン(見た目)がそのまま、自分が欲するセーリングのスピード性能をも含んでいるのではないかと思います。という事は、好きな、美しいと感じたデイセーラーを選択して間違い無いと思います。でも、ついでながら、それを確認する為に排水量やセールエリア、バラスト重量をチェックしますが。

何故、そう言えるかと申しますと、デイセーラーはキャビンの居住性や装備については考慮すべき第一の重要項目では無く、セーリングがトップ項目だからです。デザイナーがどれだけのスピード性能を求めるかによって、見た目のデザインもある程度方向性が出てくるのではないかと思います。その逆もしかりです。

クラシック系のデザインは美しい。多くのファンがおられます。でも、前後のオーバーハングは水線長を短くしてしまう。そのヨットを同じサイズで、モダン系に変えてしまうと、もっとハイスピードにする事ができます。逆に、ターゲットとするスピード性能を決める事によって、排水量を決め、水線長を決め、デザインを決める。見た目のデザインとスピードは深い関係にあります。



写真はオランダのイーグル36です。前後に長いオーバーハングがある美しいクラシックデザインです。
このヨットのSADRは23.3、かなりの高い数値です。しかし、これをモダン系のデザインにすると、恐らく、SADRは30を軽く超える事も可能でしょうね。でも、見た目は全然違ってきます。

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