第七十三話 クルージング艇とデイセーラー


      

いろんな装備があるからと、いろいろ考えてしまう。あれもこれも、ああいう時、こういう時、しかし、いろんな装備は誰にとっても重宝するわけじゃ無い。場合によっては重荷にも感じる事がある。それに対して、デイセーラーはシンプルなセーリングヨット。いろんな装備を捨ててきた。

デイセーラーはクルージング艇から冷蔵庫を捨てた、温水も捨てた、ギャレーそのものを捨てたのもある。それにキャビンも狭くなった。これは時代の流れと逆行しているのかもしれない。ところが、たくさん捨てたら気分がスッキリしてきた。どうせ殆ど使っていなかったし、もはや、フル装備のヨットに憧れる事も無くなった。傍で見てたら、逆に大変そうだな〜と思ったり。また、捨てたお陰で得たものもある。

狭いキャビンにしたお陰で船体そのものの重心が低くなった。その代わりコクピットは広い。捨てたもんだから気持ちがセーリングにスッキリと向かいセーリングを気軽に味わえるようになれた。昔の様に、使わない物で船内は一杯となり、ごちゃごちゃする事も無くなった。

いろんな物を捨てたら、方向性がスッキリと定まる。そうしたらその方向がより深くシンプルに味わえる。そういうスタイルも良いもんだ。クルージングにしたってシンプルにしたら、もっとスッキリするかもしれない。どんなヨットでも泊まるぐらいできるし、その他はその時だけ陸上から調達できる。ホテルに泊まったって良い。そう考えればヨットはシンプルで良い事になり、スッキリできる。

何が必要かと考えると際限がないが、何が要らないかと考えると不要な物が見えてくる。その見えた先には自分が本当にやりたい事をスッキリさせてくれる。捨てるという事は何を軸にするかを明らかにする事でもあるな〜。最も重要な事は自分がしたい方向にスッキリした気持ちでできる事ではなかろうか?つまり、最も捨てたいものは心の重荷ではなかろうか?


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