第八十七話 レオナルドヨット


      

オランダのレオナルドヨット社が好調の様だ。元々、量産艇では無いので、あまり一度にたくさんの注文が来ても困る。ひとつづつ丁寧に建造して、そのクオリティーを送り出す。2,3週間で造るのとはわけが違う。これも少量生産企業の特徴かもしれない。デイセーラーはみんなそうだ。

モデルは三つ、イーグル36、44、そして54.すべてのモデルでチークデッキが標準になっている。こういうスタイルのデザインにはチークデッキじゃないといけないのかもしれない。前後に長いオーバーハングを持つこのヨットのスタイルはクラシック系デザインの美しさをさらに増幅させる。その分水線長が・・・、何て言うのは野暮ってもんです。上の写真はイーグル36、標準で157,000ユーロ。下の写真はイーグル44で価格は252,500ユーロ。写真の通り、水線以下はモダンデザイン。



下の写真はイーグル54(建造途中)、標準仕様価格は775,000ユーロ。このヨットはアメリカに行くそうだ。さすがに、メインはファーラーにしている。ウィンチは電動、メインシートの出し入れも電動、これはスーパーヨットのシステムと同じ。バングとバックステーは油圧式。44の時もそうだが、たまには自分の腕でウィンチを回したくなる事もある。それも楽しい。



少量生産の特徴は品質が高い事、そうじゃないと市場では残れない。コンセプトが明確な事。そして、オーナーのご希望にできるだけ応える姿勢がある。電動や油圧やスラスターやメインファーラーや、技術的に可能で、そのうえでブランド名を貶めない仕様なら、大抵の事は応えてくれる。何でも良いなら別だが、趣味としてなら少なからずこだわりがある。そういう方は少量生産のヨットに向かう。遊びに対する価値観の違いだろう。
 デザインはクラシックでも工法は最新。バキュームを使って樹脂をコントロ
 ールしていく工法です。グラスと樹脂の最適な比率をコントロールできる。
 これが軽くて強靭な船体を造る。それに積層間に気泡が残らない。

 ところで、チークデッキにしたって昔の様にビスなんか使いません。バキュ
 ーム接着です。昔と違って接着材が良いですから。

 こんなデイセーラーはあまり役には立たない。だから気分で乗る、感性で乗
 る。そんな価値観は一般的では無いかもしれないが、最高の気分にしてく
 れる事は間違い無い。



次へ       目次へ