第30話 海外中古事情

日本における中古ヨットは数が不足しており、なかなか良いのが見つからない。それで海外は
と言いますと、あるはあるは、あるリストにはボート、ヨット合わせて、70,000艇の情報があり
ました。もちろん、これが全てでは無いはずで、もっともっとあるでしょう。でも、これだけでもすご
い数、見るのも大変です。でも、ここからいろんな事が解ります。中古の数は一部ではあるもの
の、そのまま世界の縮図と見ても良いのではと思います。統計学的にどうかは解りませんが。

ちなみに、ヨットとボートの割合は約20,000艇がヨット、ボートは50,000艇です。この割合
ですと約28.6%がヨットです。日本国内での数はヨットは5%に満たなかったと思います。世界
はヨットの割合はかなり多いという事になる。日本人はボート好き、世界ではヨット好きの割合が
多い。さらに詳しく見て見ます。

ここではヨットに限定しますが、俗にメガヨットと呼ばれる100フィート以上は133艇の売りがでて
いました。世界には一体何艇のメガヨットが存在するのだろうか、すごい数ですね。世界にはメガ
ヨット専門の造船所がいくつもある。25フィートから29フィートのサイズでは2,700艇、30’〜
34’では4,000艇、35’〜39’では4,000艇、40’〜44’は3,600艇、45’〜49’では
2,000艇、50’〜54’では1,200艇、55’〜59’では600艇、こんな感じです。

まあまあ全体的に見ると、30フィートから44’までが最も好まれているようです。恐らく日本では
30’〜34’が最も多いと思いますね。もっと細かく見ますと、30’と36’が最も多く、と言っても
ダントツという事は無くわずか多い程度で、だいたい満遍なくあります。恐らく、このふたつのサイズ
を造る造船所が多い、つまりこのサイズの種類が最も多いだけなのかもしれません。

今度は年代で見ますと、1950年以前に建造されたヨットでは319艇ありました。ちなみに、最も
古いのが1860年に建造された36フィートのヨール、もちろん、木造で販売価格は約680万円も
する。1950年代終わり頃からポツポツとFRP製が出てきます。そして、1960年代以降はFRP
製が大半をしめてくる。つまり、この頃からFRP全盛となってくるわけです。この頃の30’でもだい
たい100万円ぐらいの値段がついています。日本ではどうでしょうか。40年以上も古いヨットに、
こんな価格はつかない。多分ごみでしょう。ちなみに、有名なヒンクリー社の30’ヨットがありました。
建造は1962年30フィート、FRP製、これが何とUS$79,000ドルです。向こうの中古に対する
感覚は一体どうなっているのか、驚きです。もちろん、とても美しい、メインテナンスさえきちんとして
いけば、良いヨットはいつまでも美しいし、価格も高い。FRP製はとりあえず、経験として、40年以上
持つ事はわかりました。

どんなに良いヨットでも、20年経つヨットを買うのは不安だと聞きました。でも、この世界の中古事情
を見る限り、そんな不安は全く必要無い事が良く解ります。もちろん、メインテナンスは必要です。
それさえきちんと施してやれば、良いヨットは長く持つ、少なくとも海外では値段も高い。日本では
良いのも悪いのも古くなるとごみ扱い。それは間違っている。逆に考えると、古い良いヨットは安く
手に入りやすいので、それらをきちんと整備すれば、素晴らしいヨットになるという事です。新しければ
良いという事でも無い。

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