第53話 New コンセプト

ホームページの最初にNEW コンセプトのヨットを掲載しました。40フィートサイズをシングル
ハンドでこなすというのがテーマです。ヨット界をリードする欧米の動きが変化しようとしてい
ます。ヨットが出現して広がるにつれ、ヨットは大きくなってきた。大きなヨットには大勢のクル
ーが必要です。また、大きくなったヨットのもうひとつの使い方として、住居にしてしまう人達
も珍しくなくなった。やがて、本気でセーリングしようとする人達はクルーの不足という問題が
出てきて困ってしまう。さらに、いろんな機器が発達したせいで、便利にはなったものの、一方
ではメインテナンスの大変さも充分味わってきた。いつも、どこかを修理したり、調整したり、そ
んなヨットに莫大な経費を支払ってセーリングを求めてきた。

本格的なロングクルージングを実行するヨットマン達、ヨットを住居にして、ほんのたまに近くを
セーリングする人達、そして、もはやロングには出ないがセーリングを気軽に、でも本気に楽し
みたい人達、でも、従来のようにクルーに悩まされたくは無い。いつでも、気軽に出たい。そう
いう人達はシングルハンドを目指す。ところが、一人で出すとなると、大きなヨットは難しいという
のがあたりまえ、そうなるとサイズを小さくせざるを得ないのです。それがアレリオンやGH26、
その他の高品質で小型サイズのヨットに流れていった。

ところが、やはり大きなヨットを何とかしたいという要望があり、それが偶然にも欧米で同時に開
発され、ようやく完成を見ます。40フィートというサイズは従来のヨットでもシングルでできない
事では無い。しかし、誰でもというわけでも無いし、ましてできる人でも気軽とは行かなかった。
シングルで乗る為に、従来のヨットにオートパイロットで操船し、自分はセールトリミングをする。
これもひとつの方法でしょう。でも、本当は自分で舵を握っていたいのです。でも、舵を握って、
同時にセールトリミングする事はできない。電動のウィンチを設置しても、巻き取る事はできるが
シートのリリースはできない。メインセールトラックの左右の調整、バング、メインシート、ジブシー
ト、バックステーアジャスター、少なくともこれだけの調整を舵を握ったまま、一人で調整するのは
難しい。まして、今流行りのメインセールトラックが遠く離れて入り口の向こう側に設置されてあれ
ば、どうしようも無いのです。

欧米ではメガヨットが珍しくは無い。そういうメガヨットをできるだけ小人数で操船可能にする方法
として、油圧システムによるセールコントロールがある。これだけでかいセールとなると、なかなか
人間の力は及ばないので、油圧システムが発達してきた。この技術を導入する事によって、40
フィートというサイズをシングルハンドでこなすという発想は当然の帰結でしょう。

ジブシートはコクピットのスイッチで引く事もできれば、リリースもできる。メインシートも同様。さらに
メインファーラーのセールの出し入れ、トラックの左右への移動、バング、バックステーアジャスター
全てコクピットに居ながら、舵を握ったまま、スイッチひとつで全てをコントロールできる。

マリーナを出航して、風上に立て、手元のスイッチを入れる。するとメインセールが上がる。メインシ
ートを少し出して、コースを決める。これもスイッチひとつ。次に、ジブセール用のスイッチを押して、
ファーリングになったジブシートを引く。これで簡単に2枚のセールを展開できる。引くも出すもスイッ
チひとつ。セールの展開も収納もスイッチひとつ。ジブをセルフタッキングにすれば、簡単にタッキング
もできる。大きなメインと小さなジブとのコンビネーション。ジェネカーはソックスタイプ。袋に入れたまま
スイッチで上げる。ソックスをはずしてジェネカーを展開。これでダウンウィンドも楽しめる。

40フィートというサイズをこうやって一人で楽にこなせるならば、気軽に出せる。家族や友人を招待して
も安全に手を借りずにセーリングを楽しめる。そういう事がいとも簡単にできるようになってきた。こういう
システムを導入すると、故障したらどうするんだとマイナス面ばかりを見る人が居る。そんな事では発展
はしない。故障したら、修理すれば良い。そうやって発展していくのです。万一の場合はマニュアルで
動かす事もできる。それに全く新しく開発したものでも無いんです。従来からある技術を応用したに過ぎ
ない。

このふたつのヨットはいずれもデイセーリングを基本にしています。ロングでは必要無いからです。ロング
ではそうそういつもセールを扱っているわけではありませんから。でも、デイセーリングで良い走りを堪能
したいなら、舵とセールトリミングは欠かせない。それを舵を握ったまま、全てをコントロールできるのです
から、スイッチを押す力さえあれば良いのです。日本ではマリーナのスペースが小さいところもあり、出し
入れがひとりでは容易では無い場合もある。それなら、これにバウスラスターで対処すれば良い。

私の知る限り、4艇あります。アメリカの40フィート、イタリアの38と44、そしてドイツの60フィートです。
欧米ではもうここまで来ています。これらは確実に日本にも流れてくるでしょう。これらの出現に関して、
もうひとつ共通している事は、これら4艇とも、お客様の要望があり、これをきっかけにデザイナーと検討し、
そしてプロダクション化されてきた事です。確実にお客様の要望が、欧米共通のシングルハンドで本気で
デイセーリングを楽しみたいという事です。ヨットに住む人にはキャビンさえあれば良かった。でも、本気の
ヨットマンにはセーリングが必要なのです。

どのように感じられますか?興味のある方は是非、連絡して頂きたいと思います。大きなキャビンでヨットに
住みたいと思うのでは無く、セーリングを心から楽しみたい、気軽に出せればいいな、そう思う方は是非、
ご一報頂きたい。25フィートのノルディックフォーク、アレリオン、そしてこれら38,40,44、さらにドイツの
60フィート、これからはシングルハンドです。

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