第54話 ついにここまで来た

完全オートマチックのヨットがついに出てきました。これを開発したのは造船所では
ありませんので、ヨット自体は造っていないのですが、既存のヨットに設置できる物
です。コンピューターとセンサー、それに油圧システムを使ったシステムです。

エンジンをかけてマリーナを出る。そして”オート”のスイッチを入れる。それだけで
す。このオートスイッチはオートパイロットではありません。全てのオートスイッチな
のです。ヨットには風向、風速、舵のセンサーがあり、コンピューターはこれを解析
そして、その時の風向、風速に合わせて、メインセール(マストファーラー)、ジェノア
(ファーラー)が出てくる。それも風速に合わせて、適切な量だけ出てくるのです。
さらに、メインシートが無い! その代わり、メインのトラックから1本の油圧シリンダ
ーが出ている。これもコンピューターで風向に合わせて適切な長さのロッドだけ出て、
メインセールを調整します。これら一連の動作が全て、”オート”というスイッチを押す
だけで、すべて全自動でやってくれる。舵をきれば、またまた自動でセールトリミング
が行われ、風が強くなれば、これを感知したコンピューターは適切な量だけリーフを
してくれる。ついにここまで来たか、そんな感じです。この開発者は一般のヨットに
これを設置し、既に約3,000マイルを走ったとか。このシステムは特別なヨットにだ
け設置できるのでは無く、どのヨットにもつけられるそうです。価格は約1,000万ぐ
らいだそうです。

ヨーロッパでは、良いか悪いかは別にしても、こういう物がどんどん開発され、進化し
ている。素晴らしい事だと思います。

アメリカのある造船所では、モーターボートを建造していますが、1個のジョイスティック
が設置されている。外を走る時は通常のモーターボートと同じなのですが、マリーナ内
に入ってくると、ステアリングを使わず、このジョイステックが威力を発揮します。この
ジョイスティックはエンジンをコントロールするのですが、細かい動きを自由自在にコン
トロールできるのです。例えば、自分の桟橋につける時、このジョイステックを前に倒せ
ば前進、後ろは後進、右斜めでも、後ろ斜めでも、真横にでも動かせるというのですか
らすごいもんです。

何につけても、賛否両論あるものです。でも、新しい物が開発されていくのは良い事だ
と思います。どのように使うかは人間次第、こういう物が開発されると、壊れた時は困る
だろうと言う人が居ますが、壊れれば修理すれば良いんです。恐れては、進化はしなく
なる。こういう物を開発した人、その情熱に拍手を送りたい。

但し、採用するかどうかは別です。個人的にはヨットは自で操船したいと思います。

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