第92話 ヨットの活性化

例えどんなヨットだろうが、小さかろうが、大きかろうが、新艇だろうが、30年物だろうが
ちゃんと整備されて、オーナーに可愛がられて、どんどん乗って、オーナーが楽しまなく
てはいけません。ヨットとは楽しい物であり、みんなのあこがれなのです。海が好きな人
は実に多いです。その海に繰り出して、セーリングして、滑るように走り、自由自在に
操りたいのです。しびれるようなセーリング体験、島々を巡るクルージング、これらはヨッ
ト無しでは不可能なのです。

せっかくヨットを手に入れた方々はそれが目の前にある。それらを体験して、多いに楽し
んで、多くの方々に伝え、広めていただきたいものです。その為には、まずはオーナー
が楽しむ事が第一です。ここから全ては始まる。

その為には、どういう風にしたら最も楽しいのかという事を知らねばなりません。現役で
仕事をしている人が、日本一周をしようと思っても、今はできない。ならば、今できる事
をして楽しむ事、今できる事が重要です。どのくらいのスケジュールで乗れるのか、家族
や奥さんがいつも来るのか、仲間が居るか、クルーが居るか、いつもです。普段、どんな
乗り方なら、しょっちゅう遊べるのか、時間があまり取れない人なら、どういう風にすれば
良いか。こういう今の状況に合わせた乗り方をする必要があります。遠くにあこがれ、でも
今はできないから乗らない。これでは永遠にのれません。

一般的に言いますと、今できるのはデイセーリング、これが圧倒的だろうと思います。2,3
時間あればできる。或いは、ウィークエンドセーリング、仕事をしている方々なら、普段は
こうなります。ならば、どうやって、このデイセーリングやウィークエンドを日常として、どんな
風に楽しめば良いか。自分なりのスケジュールで、そう割りきって今を楽しむのが良いと
思います。これが基準になるなら、ヨットの選択も自ずとそういう選択がなされるでしょう。

デイセーリングでもレギュラーのクルーが居るなら、選択も変わる。でも、クルー不足の時代
ですから、シングルハンド・デイセーリングが最もお奨めです。暇がたっぷりあるなら、そして
コースタルで出たいなら、また、これも選択が変わる。でも、コースタルでも日常には、デイ
セーリングを楽しんでもらいたいと思います。さらに、外洋に行くなら、そういうヨット、でも、
これも外洋以外は乗らないのかというと、1年365日、毎年毎年外洋にでずっぱりでも無い
かぎり、はやりデイセーリングやウィークエンドセーリングは大切なポジションとなるでしょう。
ですから、デイセーリングをいかに充実させるか、そして帆走をいかに楽しむか、全ての人々
にデイセーリングをお奨めしたいのです。

前にも書きました。デイセーリングは気軽な気持ちと、しびれるようなセーリングが醍醐味です。
レースじゃないからと逃げずに、是非、セーリングを楽しむ、いかに楽しむかを考えて頂きたいと
思います。セーリングをすると、セールカーブが気になる。解ってくるとセールカーブを少しでも
良くしたいと思うようになります。そうするとシート類も気になる。船底のスムースさも気になる。
全てが最高のコンディションにしておく事がしびれるような体験をするには、必要な条件である
と気づきますから、メインテナンスも良くなるはずです。ブロックの位置が気になる。ウィンチの
位置が気になる。取りまわしが気になる。そうすると工夫が生まれる。それで、操船にスムース
さが生まれる。こうなると、ヨットはよけい滑らかさを体験させてくれます。すると、セーリングが
ますます面白くなります。全てが好循環になる。面白くなります。そうなると、ヨットの事が本当
に自分の物になる。

自分の物になると、泊まりで出かけたり、島周りで出かけたり、コースタルのクルージングをして
も、皆で宴会しても、全てに好影響を与えます。乗る事はヨットを知る事になり、自分のヨットを知
ると、一体感が生まれ、のるのが楽しくなります。まずは、乗ること、セーリングを楽しむ事、ヨット
を最初に所有した時と同じです。セーリングから全てが始まります。

コースタルをしたい人、外洋にいつかは行ってみたい人、全ての人にデイセーリングを日常としま
しょう。デイセーリングを堪能し、しびれるようなセーリングを目指し、ヨットを可愛がる。これが第一
番目に来る乗り方ではないでしょうか。

今からヨットを始める方、自分のスタイル、どんな乗り方をするか解らない。でも、まずはデイセーリ
ングをして下さい。クルーが居ても居なくても、デイセーリングを堪能する事を目指していただきたい。
モダンなデザインでも、クラシックでも良い。まずはデイセーリング、できればシングルを目指してい
ただきたい。そう思います。皆がそういう意識を持ってくれば、ヨットは必ず動き出す。

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