第十一話 100フィートデイセーラー


      

ついにデイセーラーは100フィートに及ぶ事になった。スーパーヨットの世界だ。このサイズをデイセーラーと呼べるのか、という疑問が湧いてくるが、考え方は他と同じで、純粋にセーリングを楽しむ為のヨットだ。確かに、このヨットにはキャビンもあればギャレーもある。しかし、主役はデッキ下では無く、デッキの上という事。そこが重要なポイントです。

居住性を優先してヨットを建造するのでは無く、理想のセーリングを求めたに過ぎない。それで、船体はオールカーボン製、操船は二人だそうだ。ただ、このサイズだから居住性も余裕でまかなえた。と言っても、シンプルで、最低限、マスタールームにクルー用が二つ、それにギャレー、つまり、考え方としてはクルージング艇を目指したわけでも無く、セーリング優先、と言ってもレーサーを目指したのでも無い。

純粋にセーリングを楽しみたい、そういう目的で建造されたヨットがデイセーラーであり、それは20フィートでも100フィートでも同じ事。キャビンはその後だ。このヨットの場合はオーナーがセーリング好きで、それをでかいヨットで味わいたいというリッチな人だった。だから、100フィートでもデイセーラーなのだ。進水は二年後だそうです。

そこで、あらためてデイセーラーを定義したい。キャビンが狭いからデイセーラーなのでは無く、セーリングを優先的に求め、キャビンはそのコンセプトに従うというもの。決してキャビンの方が優先される事は無い。そして、その求めるセーリングはオーナーに寄って違ってくる。だから、いろんなセーリングパフォーマンスが存在する。また、ハイスピードを求めたとしても、シングルハンド、上記の100フィートだってダブルハンドなのです。デイセーラーはセーリング好きが自分のセーリングを味わう為のヨットです。サイズは関係無い。


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