第十三話 スポーツデイセーラー


      

イタリア人というのは、本当に速いのが好きなんだな〜と思います。写真はC30、造船所はスポーツデイセーラーと称しています。が、しかし、その姿はまるでレーサーの様。でも、敢えて、デイセーラーと呼ぶ。

造船所曰く、レースに使う時はクルーが動きやすいようにコクピットはデザインされ、デイセーリングする時はシングルとは言ってないが、ショートハンドでOKだそうだ。写真もダブルハンドでセーリングしている。それゃあまあ、二人居ればたいがいの事はできる。レースの時の様に瞬時に全てを操作とは行かないだろうが。

排水量は驚きのわずか990kg、詳細を見ると吃水は2.5mで、バラストは400kgしか無い。もっと見ると、150リットル X 2 のウォーターバラスト追加されている。それも電気等を使わず、シンプルな自然の力によって出たり入ったりするそうだ。細かい構造は解りませんが。

スピードを追求していくと、デイセーラーもレーサーもその違いが薄れて行く。このヨットをレーサーと呼んでも良いだろうし、造船所が言うようにスポーツデイセーラーと言っても良いかもしれない。ただ、何故、敢えてデイセーラーという言葉を使うのか? 

推測ですが、レース以外にピクニックして楽しんだりする人達が多いからでは無かろうか?イタリアの他のデイセーラーの造船所で聞いた話、速いヨットでレースを楽しむも、レース以外の遊びも欠かせないし、使用頻度から言えば、むしろレース以外の方が多いとか。ピクニックだって速い方が楽しいという事だろう。

名前が付くと、その名前のイメージに囚われてしまう。レーサーという名前が付くと、レースにしか使わなくなるかもしれない。デイセーラーと言うと日帰りセーリングのピクニック程度というイメージかもしれない。しかし、デイセーラーだって、レースもピクニックも、旅だって、宴会だってできる。主軸はセーリングを堪能する処にあると思うが、その他はオーナーの考え方次第。

ついでながら、フランスから来ていたヨットがあった。そのヨットは何と昔のIORのレーサーだった。もはやレースとして使う事も無く、少し内装を改造して、はるばる日本までやってきた。その時の驚きは、レーサーでロングクルージング? 名前というのは我々に理解し易い様にするが、同時に限定もしてしまう。本当はいろんな楽しみ方ができ、それは考え方次第という事になるのかもしれません。

それで、造船所はこのヨットをレースで勝てるデイセーラーとも言ってます。何だか、イタリアのヨット市場の状況が想像できる様な気がします。

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