誰もが購入する前に、いろいろ吟味しますが、しかし、それでも実際に走らせないと解らない事は多いものです。しかも、一回や二回じゃまだまだ、相当期間、あらゆる状況を体験していかなければ、本当の処は解らないものでは無いでしょうか？という事は、ヨットライフというのは、長期間に渡る、自分のヨットと自分のセーリングを探求して行く事なのではなかろうか？

多くの方々が、ある程度慣れてくると、セーリング以外での楽しみを探し始めます。それはヨットを使っての何らかの楽しさ、ピクニックや宴会や別荘的な使い方、移動目的に使ったり、それも、もちろん良いわけですが、特に、デイセーラーである場合は、ヨットと自分のセーリングの探求を忘れないで欲しいと思います。

何故なら、風で走るセーリングこそ、我々が知らない謎がたくさんあるからです。面白さはそこにある。我々は何でも思い通りにしたいと考えます。しかし、本当の面白さは、思い通りにならない事を、徐々に思い通りにできるようになったり、知らなかった事を知ったり、つまり、謎を解き、克服していく処にこそロマンがある。まあ、そんな大袈裟な話では無いんですが、ただ、享楽的に遊ぶだけでは物足りなくなるんではなかろうか？

セーリングは全てが同時に動いています。風も波もヨットも静止していない。そこに自分がどうバランスして行けるか？人間の機能である、観察して、頭脳を駆使して、走らせる。しかも、誰もが、自分の今のレベルでそれができ、大雑把にも繊細にもなれる。セーリングの奥深さが言われますが、人がそれを覗いてみるかどうかだと思います。この面白さは知的な謎解きだけに止まらず、その変化を体で感じる事ができる事だと思います。

もちろん、いろんな状況がありますから、いつもエキサイティングとは行かないのですが、でも、この試行錯誤をしていきながら、いろんなセーリングを味わっていきますと、ふっと、思考から完全に離れ、得も言われぬ様な味わいを得る事があります。もちろん、狙って味わえるものではありませんが、そういう事があります。

知識と技術を求め、でも、矛盾するかもしれませんが、それらに囚われる事無く、時に情緒的であったり、風情を楽しむセーリングであったり、あらゆる可能性を模索していくのがセーリングライフなのではないかと思います。と言う事は、吹く時は吹く様に、吹かない時は吹か無いように、それぞれのセーリングを、時に知的アプローチを試みたり、或いは、感覚セーリングだったり、その時々の自分の気持ちを感じながら、セーリングを続けて行く。そうしたら、いつかどこかに行き着くのではなかろうか？どこに行き着くかは解りません。どんな心境になるかは解りません。でも、長い年月の探求は、きっと何かをもたらしてくれると思います。心に定着する何か？

上の写真には、足を投げ出し、ゆったりとセーリングを味わっている男が居ます。そういう風情を楽しむセーリングも良いもんです。或いは、頭はぐるぐる回っているのかもしれません。どっちも楽しいし、面白い。理想的なセーリングライフとは、いろんな状況でのセーリングを味わっていく事、継続し、多くを体験する事ではないかと思います。もしろん、気持ちがだれる事もありますが、それも含めていろいろです。それは自分のヨットと自分のセーリングを知り尽くすという事でもあります。