第三十五話 舵操作


      
サンビーム28.1デイセーラー

学ぶ事こそ面白さと書きましたが、セーリングしていて、何かに気付く。そこから始まります。何でも良い、小さな事で良い、気付いて、疑問が湧き、それを何とかしようとする。それでひとつ上手くなれる。そこには、解る面白さと、出来る喜びと、身体感度の上昇があります。これらはいつもワンセット。

もう随分昔ですが、大きなジェノアの時代です。ある方、タックして、ジェノアを返すも、殆どウィンチを回す事無く完了していた。舵とのタイミングがバッチリ。タック後に、ジェノアを引き込む為に、延々とウィンチを回すのとは大違いです。それでも、ジェノアはまだ良いんですが、ジェネカーのジャイブになると、上手くやらないとジェネカーを返せない事もある。

これらは、舵操作とセール操作のタイミングですが、舵はセール操作の動きを見て、タイミング良く操作される方が良い。
どのくらいの速さで、どれぐらい切るか、それもセールの動き次第でのタイミングがあります。素早くやるというより、ゆっくりでもベストタイミング、そうすると、操作は楽になるし、トラブルも無く、しかも、動きが美しくなる。デッキ上でバタバタしないで良い。

また、舵操作の基本は真っすぐ走る事。自分ではそのつもりでも、結構ジグザグになっていたりします。そうすると、セールに当たる風の角度がいつも変わる事になります。波でバウが左右に揺れる。振れてから戻すのでは遅い。舵もその分切る角度が大きくなります。舵は抵抗です。それで、振れそうになる瞬間にちょいと舵を当てる。そうすると、舵操作は瞬間のわずかで良い。

また、舵は乗り手の意思ですから、どの様に走るかを決めています。風向に関係無く、ある一定の針路を維持するのか、或いは、風向との一定角度を維持して、風に追随して舵操作するか、このふたつしか無い。どちらで走るのか?

舵は水流を利用して、方向を変えるものですが、それは抵抗を造る事を意味しますから、できるだけ抵抗は少ない方が良い。だから、意図的に曲がる以外は真っすぐが良い。例えば、ヨットが切りあがろうとする時、舵で抑えるのは、かなり大きな抵抗になる。だから、風を抜いた方が良い。それに相当大きな、想像以上に大きな水圧が、舵板にストレスとしてかかります。

頭で解っても、すぐに出来るとは限りませんから、それを実際にやれるように練習します。それが面白さだと思います。徐々に出来るようになっていくプロセス、それで身体感度も上がります。舵のいろんな要素が解ってきて、上手くなっていくと、セーリング全体が楽になるし、動きも美しくなる。そこから派生して、さらにまた、疑問が湧いてきて、それらをまた学ぶ。こういうプロセスは、面白いと思いますし、しかも、長く継続できます。さらに、慣れてしまえば、簡単に出来るようになれる。デイセーラーのセーリングは、美しいセーリングを目指します。セーリングは、それを面白いと思えるかどうかにかかってます。

次へ       目次へ