第六十四話 ピクニックボート


      

今日のデイセーラーがピクニックボートと呼ばれる事に、以前は、少なからず反発を感じていました。性能的に言って、ただのピクニックボートでは無い。しかし、最近、ピクニックボートとしても良いか、なんて思っています。楽しく、面白く、でも、一味も二味も違うピクニックを楽しめるのが、今日のデイセーラーだと思います。

ピクニックと言えば、誰もが気軽にできるヨット遊び。しかし、いつものんびりで、お弁当食べて、おしゃべりして、そんなピクニックばかりじゃあ、また乗りたいと言ってくれる人は居なくなる。だからクルーがいつまでたってもできないんじゃなかろうか。クルーになりたいと思う程、面白さは無いから。だから、ピクニックの中にも、本気のセーリングで、少しぐらいスリルを味わった方が良い。本当の非日常はそこにある。

ゲストにとって海とヨットは非日常だが、30分もすれば最初程では無くなる。二回目ならなおさらだ。だからこそ、本気セーリングを混ぜて、セーリングの本当の面白さを味あわせてやる。その為には、普段、自分が本気でやっていなければできない。本気セーリングとピクニックセーリングは無関係な別物では無く、互いを補う関係にあるのでは無かろうか。

シングルの本気セーリングは、その気になってやれば面白いが、常にそればかりではつまらなくなるかもしれない。そこで、ピクニックを企画して、みんなを楽しませる事を考える。自分がやってきた事をお披露目するようなもの。そこで、普通のピクニックとは違うセーリングをみんなでシェアーする。それがまた、シングルでやる時には励みにもなる。

だから、ある程度の強風でも余裕を感じ、微軽風だったらコードゼロやジェネカーを使いこなせるようになれれば、ピクニックセーリングの幅も広がる。これがみんなを楽しませる事になる。わざと大きくヒールさせてみたりしても面白いかもしれない。彼らは、安心しながらも、ドキドキする事に飢えている。そんなドキドキ感を味わった後のリラックス感とのギャップは、また乗りたいと思うかもしれないし、回数を重ねるとクルーになっていく人も出てくるかもしれません。

そんな事やってたら、たま〜に独りで静かに走る時、そんなセーリングにも何かを感じてくる。楽しいとは違う、面白いとも違う、それらを超えた何かかもしれない。これはピクニックでもあり、本気セーリングでもある。本気でやるといろんなセーリングに出会える。何が違うって、自分にも、思った以上に、いろんな事を感じる心がある事に気付く事ではないかと思います。是非、楽しくて、面白いピクニックを、みんなで満喫して頂きたいと思います。

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