第六十七話 セーリングイメージ


      

イタリアンデザインのBヨットはモダンデザインの代表格かもしれません。その後のヨーロッパデイセーラーにかなり影響を与えたと思います。走る事を楽しむ為にデザインされた、いわばイタリアンスポーツです。これを、レースに使おうが、ピクニックに使おうが、或いは、近場へのクルージングに使おうが、オーナーの自由です。速いからレースなんて固定観念はありません。写真の様に、独りでゆったりなんてのも有。



一方、こちらはアメリカのアレリオン。今日のデイセーラーの元祖です。トラディショナルなデザインで、その美しいデザインは、世界を魅了しました。これがあったからこそ、Bヨットも生まれたと言えます。

同じデイセーラーで、同じ33フィートです。どちらもシングルハンドで、高い帆走性能を持ちますが、違いはスポーツ性にあります。アレリオンをレーサークルーザーレベルとするなら、Bヨットはレーサーレベルと言えます。それだけスポ―ツ度が高い。どっちが良いとは言えません。ただ、違うという事です。どっちを好むかという個人の価値観の問題です。

このふたつのヨットの違いは、排水量とセール面積が決定的に違う。見ただけで解りますね。B33の方が軽いし、セール面積も大きいので速い。しかし、上りでのスタビリティーはアレリオンの方が高い。当然です。同じデイセーラーでも、性格は違う。どういうセーリングを好むか?どういうデザインを好むか?どういう操作にしたいか?自分のセーリングイメージを想像してみて下さい。そして、デイセーラーは好みのデザインで判断しても良いと思います。その帆走性能は、そのイメージに合ってくると思います。

さて、もうひとつ、当社取り扱いのレーサークルーザーとも比較してみます。スウェーデンのアルコナ340でサイズがちょっと大きくなります、キャビンも充実していますので、排水量は当然重くなります。



セール面積はB33とほぼ同じです。でも、排水量が重いので、SADR値を計算すると、アレリオン33とほぼ同じ。スポーツ度で言えば、アレリオン33とアルコナ340はほぼ同じSADR約22です。排水量はアレリオンよりアルコナの方が約1,300kg程重く、セール面積は約10u程大きい。同じレベルのスポーツ度ですが、アレリオンの方が軽い為、小さなセールで同じスポーツ度に達しています。

因みに、普通の沿岸クルージング艇の某33フィートと比べますと、セール面積はアレリオンと同じぐらい、でも、排水量がアルコナ340よりさらに1,000kgぐらい重い。だから、SADRは17ぐらいになります。こうして同じサイズを比較して行きますと、各ヨットのセーリングイメージが湧いてきます。

世界には様々なコンセプト、サイズのヨットが建造されています。重要な事は自分のセーリングイメージを掴む事では無いでしょうか?そのイメージに合ったヨットがきっとあると思います。

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