第八十話 マイセーリング


      

以前出会った方、上手かったな〜。技術的にどうこうというより、ヨットと一体化していると言いますか、身のこなしがスムースで、目を瞑ってでもできるんじゃなかろうか? と思わせるぐらい。シングルの時は、さぞ、セーリングに浸っているんだろうな〜という感じ。

技術的に上手い下手はあるんだろうけど、そんなものはこの先もっと上手くなれる。それは終わりの無い追求でもありますが、その前に、彼には自由自在感がある。そういうのを見ると、やはり上手くなると面白い事がたくさんあるだろう。

誰だって、下手より上手い方が良い。例え、ピクニックで友人達をもてなすにしも、上手い方が良い。しかし、その為には、学び、練習し、経験を積む以外に方法は無い。と言う事は、そうやった人しか味わえないセーリングの世界です。乗れる人は大勢居ますが、それ以上を求めていく人は多くは無い。

ただ乗れるだけのセーリングなら簡単ですが、それ以上になると徐々に難しくなっていく。その技術を得たからと言って何か得する話でもありませんが、否、上達するプロセスとその時々のセーリングや上質のフィーリングを味わえる。そのセーリングを自分のものにするかどうか?同じセーリングでも、味わう世界は全く違います。

何年にも渡ってヨットやってきて、何を味わうか?どうせやるなら、思う処を存分にやって、自分なりのセーリングでも良いので、後悔の無いヨットライフを送って頂きたいと思います。そこにデイセーリングをお薦めしています。

知識的にも、技術的にも、感覚的にも上手くなって、微軽風では滑らかに繊細さを感じ、強風でも余裕が持てて、自分のヨットを自在にコントロールしながら、マイセーリングを堪能する。ヨットを自分の味方につけて、ヨットとの一体感を感じ、セーリングを極めたい。これが理想です。ピクニックも楽しいが、それだけじゃあ物足りない。

知識も技術も感性も味わう為にあります。どんな味わいを得たいか次第です。自分でやるしか無いんです。どうせやるなら、これから5年、10年かけて、デイセーリングを極めてやろうというのは如何でしょう?どこまでやれるかは解りませんが、そんな事は気にしない。

その味わいは如何なるものか?食事で言うなら、空腹さえ満たせば良いというものでは無く、より美味いものを食したいというのと同じでしょう。ただ、食事はお金さえ払えば可能ですが、セーリングはお金では買えません。超大金持ちでも、自分でやるしか無い。例え、一流のヨット乗りを雇ってきても意味は無い。自分がそうなれるからこそ味わえる世界です。ただ、できるだけリラックスして、気軽にやり、それを続ける事が必要だと思います。老体にムチ打つなんて必要無い。体力勝負じゃ無いんです。その代わり、頭は使います。工夫も楽しみます。身体の力を抜いて、リラックス、リラックス、でも、心はそこにある。

次へ       目次へ