第七十一話 旅とセーリングを再考する


      
長崎九十九島

旅というと遥か遠くを思い浮かべ、セーリングというとレースを思い浮かべたりする方々は多いと思います。しかし、数週間や一ヶ月とか、そういう旅はそうそう気軽に行けるものでもありません。第一時間が取れるかどうか。でも、楽しい旅をしたいし、面白いセーリングも味わいたい。

昨年ですが、長崎の九十九島をヨットで走ってみました。こんなに島がたくさんあると風が予期せぬ方向から吹いて来ることがあり、そんな複雑な処ですが、それがまた面白さでもあり、そんな処を自由自在にスイスイ走ると何と気分が良い事かつい、こんな場所に移住してみたくもなります。そう言えば、三重県の伊勢志摩もそんな感じだった。スイスイセーリングが面白いのは当然だが、機走だって楽しめる。

探せば日本中あっちこっちに面白そうな海域があるでしょう。瀬戸内海もそうだろうし、博多だってポツポツと島があって、そういう島巡りの旅は結構楽しめる。その近場の海域を探索する様にヨットの旅を楽しむという近距離旅なんかは気軽に楽しめるのでは無かろうか。

例えば瀬戸内海で2,3年楽しんで、次に博多で2,3年、さらに長崎へとか、その海域間移動は少し長くなるが、何も一気に大きく移動しなくたって良い。実際、関東の方が去年、博多から瀬戸内海に移動されたし、博多にも、長崎にも関東関西のオーナーも少なく無い。飛行機や新幹線で行けばすぐだ。しょっちゅうは乗りに来れないかもしれないが、一週間程度の休みでたっぷりその海域や観光も楽しめて、それに行く理由もできる。だから家族でも楽しめる。もうひとつ、保管料が地方の方が安い。これも魅力です。

同じホームポートに10年も居たら、それゃあより遠くに行きたくもなります。でも、ホームポートを変えるだけで、環境はがらりと変わって新鮮な気分にもなります。その新しいホームポートの近場を旅し、デイセーリングも楽しむ。博多湾から長崎へは約80マイル、そう遠いわけじゃない。それでも、上の写真の様な環境に変わってしまう。こういう乗り方も考えてみる余地はあるのでは無かろうか?こういうスタイルだとデイセーラーだってやれちゃうんです。その海域で旅もセーリングも楽しめます。

下の写真は博多湾です。能古島があって玄海島があって、博多湾を出ても点々と島がある。ホームポートを数年毎に変えて、各々の旅とセーリングを堪能するというスタイルは如何でしょうか?海外ではそんな事を気軽にやってます。ニューヨークに住むオーナーがフロリダやカリフォルニアに置いて居たり、或いはヨーロッパに置いているオーナーも居ました。幸いにも陸上の交通機関が発達しているので、その気になれば簡単に出来ると思います。海外にとは言いません、国内ですから。


博多湾

国内旅行なんかの時に、その地方のマリーナを訪ねてみるのも良いかもしれません。次のホームポートの候補地としてどうか?マリーナの設備、費用、周辺の環境、交通の便、そしてもちろん海域の環境を見る。
昨今はネットで簡単に調べる事もできますが、旅行ついでに現地に行ってみるのも楽しいかもしれない。気に入ったら、現在のホームポートからの旅を計画しましょう。これで旅の理由も出来る。

そうすると少しだけ長い旅はホームポート移動という事になります。移動後はまた近場の旅とセーリング、それらを考えると、やはりクルージング艇にしてもデイセーラーにしても30フィート前後ぐらいが手頃かなと思います。

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