第八十九話 ヨーロピアンヨットオブザイヤー2019


      

ハイパフォーマンスクルーザーとして知られるアルコナのニューモデル、アルコナ435が2019年のヨーロピアンヨットオブザイヤーを獲得しました。この造船所から出て来るヨットについては、もう今更言うまでもありませんが、非常に高い建造技術で広く知られた造船所です。

ハイパフォーマンスクルーザー又はレーサークルーザーという呼び方もありますが、高い帆走性能と旅の性能を兼ね備えたヨットです。但し、このジャンルにも当然ながら幅があります。内装を充分に造り込んで、その上でよりスピードを重視したヨットもあれば、内装をシンプル化してよりスピードを求めたヨットもあります。アルコナはその中でもかなり内装が造り込んであります。そのうえで、SADRは27ありますから、これはかなり立派なものです。その要因は何と言っても排水量の軽さにあります。クルージング艇より2,3トンは軽い、その上でより船体強度を高く仕上げている。工法はバキューム云々は当然ですが、できるだけモールドを使わずにそれぞれのの部位を船体積層する事によって船体の強化にも繋げています。

速いヨットを造るのはそう難しい事では無いと言います。優秀なコンピューターソフトを使えばそれが可能にもなるが、旅としての性能をも加味していくとなると話は別。それが我々のチャレンジだと彼らは言います。 長い旅とかレースとか、そういうロングレンジの本格派にはもってこいだと思います。




外洋を長期間に渡って走れるヨット、それも帆走性能をも重視するとなるとそれなりの構造や工法、手間のかけ方が違ってきますね。外洋となれば旅にもセーリングで走ります。燃料持ちませんから。そうすると、たとえレースはしなくても、足の速いヨットは一日の行動範囲が広くなります。もちろんレースも楽しめる。

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