第九十五話 中古艇


      

現在の中古艇を見ますと長持ちし過ぎだろう、だから新艇が売れないなんて不届きな事を考えてしまったり。車なんかの比じゃ無いな〜。30年越えなんか珍しくも無いし、さらにこれからもずっと持ちそうです。船体には問題が無いから。

しかし、FRPというのはいつまで持つんだろう?アメリカで最初にFRP建造が始ったのが1950年代だと聞きます。すると60年以上経ってます。それが今でもレストアを施されたりして現役だったりするのです。物に寄ってはそれがピカピカだったりもします。ある造船所が以前、うちのヨットは100年経っても大丈夫とか言ってましたが、当時は、本当かな?とか思いましたが、今なら信じられます。

でも、問題は船体は長持ちでもそれ以外はそこまでは持たない。と言っても一般からするとあの海という環境を考えても機器類は優秀です。とは言っても20年とか30年とか、そこまでは。という事で中古艇、特に古くなればなる程メインテナンス次第だという事は皆さんご承知の通りです。

だから海外の中古市場なんかですと、何年に何を交換したとか、そういう事がきちんと記載されてます。歴史が長いだけにそういう事が重視されてきたのだろうと思いますが、日本ではセールもシートも古いままというのが結構多い。破れるまで変えないとか、機器類も壊れるまで使い続けるとかです。ですから一般的に言いますと、海外市場のヨットの方がメインテナンス状態は良い。一般的に日本のヨットは酷使されていないヨットが多く、でも、メインテナンスが良いとは言えない。酷使されていないだけに実に惜しい気がします。これでメインテナンスが良かったら、もっと良いだろうに。

歴史が長くなって、ヨットが古くなればなるほどに、やはり、日本でもこういうデータを記載していくのが良いと思いますし、と言う事はオーナーとしても、曖昧な記憶によるのでは無く、きちんと何年に何を交換したとか記録していくのは重要なデータになると思います。

昨年ですが、コンパック27というクルージング艇をかなり整備して、古いものは交換して販売致しました。これからもずっと使い続けられるでしょう。こういう方法もありますが、それに対して写真のヨットはバンドフェット(30フィート)ですが、船齢は35年です。しかし、この5年ぐらいで、多くの交換、整備が成されています。エンジンなんかピカピカです。(中古艇情報掲載中) メインテナンス次第でこれ程の差が出て来る。

古いヨットでも長く長く使えます。それを買ってメインテナンスをしていくか、或いはメインテナンスされたヨットを買うか、そういう岐路にあるのかもしれません。それさえわきまえておけば、これからだって長く楽しめます。


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