第十九話 美味いものを少しだけ

   
   

温泉に行ったら夕食には、まあ〜、出るわ出るわ、刺身が出て、肉が出て、・・・・・、もう食えませんと言ったって既に品数は決ってます。どれも美味いんだけれど、食い過ぎて、苦しくなって、後がいけません。申し訳無いが、美味しいものを少しだけで充分、というよりその方が良い。若い人達は違うだろうけど、年取ってくると腹一杯食べたいとは思わなくなってきた。でも、残すと悪いから食べてしまう。できれば、そういうおもてなしのスタイルは変えて欲しい。

現代のクルージング艇は、このフルコースの様なもの。そんなに食べきれないんだ。ロングクルージングに行くならフルコースが良いかもしれない。何しろ何日もかけるわけだし、しかし、そんなヨットを日常に食べるのは苦しい。だから、いろんな物を削ぎ落してシンプルにしたい。でも、その代わりセールフィーリングの良い、いわゆる美味しいエッセンスを少しだけ。

この美味しいエッセンスはそのヨットの様々な要素が総合的に合わさってフィーリングを与える。排水量、船型、セールプラン、操作性、そして何と言っても船体剛性、云々。たくさんの要素があるが、それらの総合力がセールフィーリングとして表れる。それが良いと感じるかどうかが最重要課題です。それさえあれば、他の事は重要とは思えなくなる。むしろ、あれば重くなり、あればメインテナンスも増える。無ければスッキリ、無ければ考えもしない。まるで、美味しいものを少しだけと同じです。

頭で考えると、何でもかんでも必要に思えてくるが、経験から考えるとより自分の真実が見えてくる。年取ったせいかな〜? そこに住むわけでも無いんだし。上の写真はイーグル38、セーリングエッセンスの詰まったヨットです。キャビンは狭いが、コクピットは広い。それにシングルハンドもできる様になっている。また、何と言っても高いパフォーマンスです。

と言う事は、ひとりで気軽にセーリングを楽しめる。二人でも三人でも・・・、さらにピクニックに誘ったり、ゆたりでも、速く走っても良いし、さらに近場の旅にも充分です。キャンピングカーに荷物をたくさん詰め込んで長旅に出るか? 或いは、スポーツカーで気軽に近場を走り回るか?


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