第四十五話 デイセーラーは何故シングルハンドにこだわる?

   
   

デイセーラーはみんなシングルハンドを謳っています。前に書きましたイーグル54も大きなサイズにも拘わらずシングルハンドでOKと言います。何故デイセーラーはシングルハンドにこだわるのか?

セーリングしていてセーリングに集中したいと思っても、他に誰かが乗っている時、自分一人がセーリングに夢中になれないですよね。その同乗者が家族や友人であっても、多少なりとも気を使うと思います。ところが、レースをやってる人達は5人居ようが10人居ようが全員がセーリングに集中します。それは全員が目的を共有しているからです。ところが、レース以外ではそうはいかないんですね。だから皆全員で集中して走らせるという事は無く、要はピクニックという事になります。

でももしオーナーがレースするわけじゃないけどセーリングの面白さを味わいたいと望む時、シングルハンドならばそれを自由自在にやる事ができます。デイセーラーはクルージング艇とは違う、レーサーでも無い、ましてピクニックボートでも無い。デイセーラーはセーリングをスポーツするヨット、スポーツカーの様なコンセプトです。スポーツカーはレーシングカーではありません。もちろんデイセーラーだってレースしても良いし、実際にやってます。でも、多くはセーリングをスポーツしているんです。

セーリングにおけるスピードはもちろん操作に対する反応や走るフィーリング、これらをシングルで操作して高いレベルで味わう事ができる。かといって上手い人だけがやるわけではありません。初心者がセーリングを学んで行く為にもスポーツしたら良いと思います。

或いは、もしひとり一緒に乗れる人が居てその方が自分と同じ様にセーリングを堪能したいと考える人ならば、もちろんシングルハンドでは無くダブルハンドでも良いですね。これまたシングルの時とは異なる面白さを共有できます。昔ですが実際にダブルハンドでセーリングをスポーツしていた事があります。舵とセール操作を交代しながらああでも無いこうでも無い、実に面白かったし充実していました。それはもうクルーというより相棒でした。でも、なかなかそういう人が居ないんですね。

そうなるとシングルハンドです。これなら間違い無い。シングルの時はスポーツして、ゲストが居る時は状況に応じてピクニックでも良いと思います。臨機応変です。これができるのがデイセーラーです。自由になる事ができます。そしてピクニックする時でも帆走性能が良いと、これまた楽しさが増加していきます。結局、スポーツではもちろんピクニックでもある程度は走った方が面白いと思います。そういう事でデイセーラーはみんなシングルハンドを重視しているという事です。

誰かと一緒に乗った方が楽しいですよね。でも、スポーツする時は楽しさでは無く面白さを求める事だと思います。


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