第一話 キャビンライフとセーリングライフ

クルージングにはキャビンライフとセーリングライフがあります。ひとつのヨットに
それらを盛り込む事は、造船所がどちらかを優先して想定していくように思います。
もちろん、どちらか一方という事は無く、どちらも共存しますが、造船所がどちらに
重きを置くかではないかと思うんです。例え、それがデイセーラーでも外洋艇でも
です。

独断と偏見かもしれませんが、最も解り易いのは、メインシートトラックの位置では
ないかと思います。メインシートトラックを入り口の向こう側、キャビン天井の上に
持っていくのは、キャビンにあると邪魔という考え方があります。キャビンの向こう側
に設置しますと、セーリングでは使いにくくなります。でも、コクピットの邪魔には
ならない。つまり、トラックがキャビン天井の上ですと、キャビンライフを優先、コクピッ
トにあると、セーリングを楽しもうという意図があるように思えます。

もちろん、どちらも、片方を優先して、もう片方はどうでも良いなんて事を言うつもりは
ありませんが、優先の度合いですね。どちらか一方の方が優れているというつもりも
ありません。これら二つは単純に遊び方の違いです。キャビンライフを優先したヨット
はいかに快適に過ごすかを考えられていますので、これが大きければ大きい程、セ
ーリングライフを侵食してします。逆に、セーリングライフを優先すればする程、キャビ
ンの快適ライフは減じられる。要は、オーナーのコンセプトがどちらを優先したいのか
という事になるでしょう。

デイセーリングなら、セーリングを優先したいと考えています。日帰りからウィークエンド
セーリングにおいて、最も面白いのはセーリングだと思うからです。それがコースタル
となりますと、キャビンライフがもっと出てくる。ここが微妙なところです。セーリングライフ
を極端にすすめますと、レーサーになってくる。そこまでは無いにしろ、ある程度はセー
リングの面白さを残しながら、そしてキャビンライフも楽しみたい。そういう事を考えると、
メインシートトラックはやはりコクピットにあって、帆走性能も良いヨット、セーリングのコント
ロールを楽しむヨットが良いように思えます。こういうヨットでも、キャビンは結構充実して
いるものです。さらに、オフショアとなりますと、これはもうキャビンで長い期間寝泊りしな
ければなりませんから、キャビンの重要度は増してきますね。セーリングを無視するような
ヨットは論外だと思いますが、でもセールコントロールをそう頻繁には行うなわなくなります
何しろ、何日も何日もヨットに居るのですから、そうしょっちゅうはやってられません。ただ、
ヨットに求めるのは、頑丈さ、安全性、スタビリティー、直進性、そういう物でしょう。もちろん
帆走性能はどうでも良いわけでは無く、速いにこした事は無いとは思います。コクピットから
キャビンに長い期間過ごしますから、こういうヨットではキャビン天井の上にメインシートト
ラックがあっても良いかなと思います。

そして殆どの方々が考えるのがコースタルですね。セーリングとキャビンです。でも、実際
の運用はデイセーリングからウィークエンドセーリングになります。でも、キャビンは重要と
考えられる方々が殆どでしょう。それでは、そういうヨットのメインシートトラックがコクピット
にあるヨットをお奨めしたいですね。セーリングを楽しめるヨットが良いと思います。そして、
そういうヨットでもキャビンは結構充実しているものです。キャビンライフを優先しますと、どう
も日本人には合わない。そう思うんです。

デイセーリングなら、キャビン:セーリングは3:7ぐらいでしょうか、コースタルなら4:6、から
せいぜい5:5、オフショアなら7:3、こんなところかなと思います。

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