第二十三話 何かがやってくる
| セーリングをしていますと、非常に良い気持ちになる事があります。もちろん、こういう 時はスムースな走りをしています。でも、スムースであればいつもそうかというと違う のですね。これが。何かはわかりませんが、一種のハイな状態かもしれません。 自分の操船の腕が上がったような、軽い緊張感もあり、無心状態のような、何とも 言えない感覚です。それは、まるで何かが降りてきて、すべてを整えてくれたような そんな感じでしょうか。最高としか言いようの無い感覚です。 レースで、速く走るから味わえる物でも無く、どんなに状態が良いと思っても駄目で、 いつ何時やってくるかは解らない。でも、確かにそう感じる時があるのです。結局、 それを味わう為にセーリングするんですね。だから、私個人的には、それを味わう為 の装備はほしいと思いますが、後は必要最小限で良いと思っています。良い感じだ と思った時に出せるヨットが良いと思っています。大きい方が楽だからといいますが、 楽するのが目的でセーリングするわけでは無く、第一は何かを感じる為なので、それが できれば、良いのです。 ただ、普段は無意識から意識した状態になりますから、若干の好みを取り入れる。それ がクラシックな雰囲気だったりするわけですが、それでも、セーリングの邪魔になるような 重荷になるような物は採用しない。したいとも思わない。 セーリングに限らず、何でも同じような事があると思います。気分が最高に乗ってる時で すね。音楽を聴いて、鳥肌が立つような、スポーツをやって全てがうまく行く時、自分が したんじゃないような、そんな時がある。めったにはありませんが。 そういうのを経験してみたいと思いませんか？それにはスポーツクルージングをやるのが 最適です。しかも、ショートハンドかシングルが良い。関東はクルージングスポットに恵まれ 無いと聞きます。それなら、どこ行くでも無い、セーリングを追及してみたらいかがでしょう。 レース以外の人達はセーリングをないがしろにし過ぎると思いますね。 ヨットの事を一生かけて勉強するつもりで、それが楽しいい事でもあるのですから。最近、 高年齢者で楽器を始める人が結構多いようです。簡単な曲が弾けるようになったら、面白く なりますが、もっとうまくなったらもっと楽しいだろうなと思います。それと同じです。ヨットの 事を良く知るようになり、もっとうまくなれば面白いはずです。動けば良いという程度なら 誰でも簡単にできるようになる。本当に面白いのは、その先です。でも、その先に行くのは レーサーだけと勝手に思いこんで、その先には行こうとしない。その代わり、島に行こうとす る。島がそこにあるもんだから、そうしなければならないと思う。もちろん、行っても良いが、 島以外にみ、行く先があるという事を知ってもらいたいですね。 レーサーの人達は詳しいですね。頭も使っている。でも、みんなそうすれば面白いのです。 ヨットは知的遊びなのです。そういう事を面白がってやってると、いつか、何かがやってくる。 |