第三十六話 プラン

年をとってからは時が経つのが早く感じられます。あっという間の1年、5,6年も経てば
環境の変化は大きくなり、プランも変化せざるを得なくなる。これから、5年経つと、何が
変わるだろうか。仕事を引退しているかもしれない。子供達は大きくなるし、或いは、
巣立っているかもしれない。こういう身近な環境の変化は容易に推測する事ができる。
こういう変化のめまぐるしい時期には5,6年をひとつの単位として考えたらどうだろう。
もちろん、長期計画も必要でしょう。それは大きな枠組みとしての計画であり、とりあえず
はその長期計画に沿った、5,6年単位のプランを持ち、それを積み重ねていく。

ひとつのヨットを20年も持ちつづけられる事というのは良い事だろうが、実際の環境の変
化においてはなかなか難しい。ファミリークルージングと考えて購入したヨットは5,6年
も経てば、家族の環境の変化には対応できなくなるかもしれない。それで、その変化に
対応して、買い換える。次の5,6年はどうするか、どうしたいか。年数は人によって異なる
だろうが、10年以内で誰もが大きな環境の変化に合うだろう。ならば、ひとつのヨットを
10年以上に渡って乗りつづける事はなかなか実情に合わなくなる。

10年以上先の事は先で考える。それで、今最も楽しめるヨット、この5,6年を楽しむヨット
として考える。経済的環境、家族、仕事、それらの変化と供に、自分の精神的、肉体的
変化も避けて通れない。乗らない方は別ですが、だいたい皆さん10年以内に買い換えて
おられます。5年が短過ぎるならば、7、8年でも良いのですが、長くとも10年以内でしょう

これからの5年をどう過ごしたいか。これが最も大切で、その先は推測した通りになるかど
うかは解らない。その時が来た時にまた考える。とりあえずは今からの5年。いつか遠く
へ行きたいと考えるより、今遠くへ行けるのかと考えた方が良い。そうすると、自分の乗り
方というのが見えてくる。これによって選択するヨットはかわってきます。

5年というのは過ぎてしまえば短いが、未来の5年は結構長い。充分遊べる長さです。
そして変化にいろいろ対応できるにはシングルハンドという考え方は良いと思います。
シングルハンドは一人で操船するという事になりますが、実際一人では無くとも、シングル
ハンド的な態度を持ち、全てを自分で把握するという姿勢は、ヨットに精通する事になり、
ヨットが変わっても、クルーが居なくなっても、対応できますから、自分が主体になる。そう
するといろんな環境の変化に伴い、主体的に動けます。今からの5年を多いに楽しむと
考えると、ヨットを選ぶ場合においても、かなり大胆に、割りきる事もできる。そうすると、
多いに楽しむ事ができます。最初から一生の買い物と思うと、あれもこれもとなり、逆に
に遊べなくなる。そして、5年経った時、次の5年に対して、買い換えるかもしれないし、
或いは、今ので良いと思うかもしれない。それはその時のことです。

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