第六話 ”スポーツクルージング派”宣言

本日は晴天なり。秋晴れの良い一日、良い風吹いて、今日走ったら最高だろうなと感じました。
誰もが、こんな事を思う日があるものです。こういう時にこそ、最高のセーリングが楽しめます。
こんな日はキャビンなんかで閉じこもっていては、実にもったいない。

何度も、何度も、ここに書いてきましたが、レース派か、或いはクルージング派では無く、最高の
セーリングを目指す”スポーツクルージング派”を宣言します。勝ためでは無く、自分の最高を目
指すセーリングです。自分で舵を握って、その微妙な感覚を味わいましょう。まるで、釣りをしてい
る時、浮きがぴくぴく動いている時のような、そんな集中した感覚です。シートを出し入れすると、
船体が即座に反応し、スピードに関わってくる。このスリリングでエキサイティングな感覚は、その
気にさえなれば、誰でも感じ取れる。こんな事はレース派のものと思っていませんか?こんな最高
の感覚を捨てていませんか?クルージング派だと自らを称し、ゆらゆら揺れているだけか、どこかに
行く為にヨットを使っていませんか?もし、そうだとしたら、ヨットの最高の楽しみを半分は捨ててい
ます。そして、そのもうひとつの半分にどっぷりつかって、セーリングは楽が良い、のんびりで良い、
レースするわけじゃ無し、そう考えて、ヨットを選び、艤装にも気を使わない。オーナーがそうだから
造船所がそういうヨットを排出してきたのか、或いは、造船所がそういうヨットを造ってしまったおかげ
で、オーナーがそうなていったのか。

クルージング、おおいに結構でしょう。でも、誰もが、自分で操船して、最高のセーリングを味わうべき
だと思います。何故なら、それがヨットをやる人だけが味わえる最高のフィーリングだからです。息を
飲むような、魂がしびれるような、最高の感覚を味わえるのは、ヨットに乗れるからです。これはレース
で他に勝という感覚とは違います。どんなに良い走りをしていても、レースの最中ならそんな感覚に
浸っている暇は無い。良い走りだからこのままというわけには行かない。でも、スポーツクルージング
として、良い走りを追求する乗り方は、どんどん味わっていけば良い。レースしなくて良いのです。
まさしくスポーツなのです。

これを実行するには、ヨットはどんなヨットでもOKです。でも、何でもそうですが、よりやり易い物という
のがある物ですママチャリで走るより軽快なスポーツ自転車の方が快適です。道具にはそれに相応
しいコンセプトがあります。ヨットも同じです。のんびりクルージングが悪いと言っているわけではあり
ません。時と場合によって使い分ける。そして、そういうヨットでも使い方で、のんびりクルージングも
できますし、ロングだって行ける。キャビンだって充実しています。帆走性能を考えて、艤装を考えて
そして、そういう気持ちを持つ事が大切です。何でもかんでも自分が動かずに楽と便利だけを求める
なら、何の感動も味わう事はできません。一生懸命やるから、感動できるのです。

外洋のロングクルージングならいざしらず、デイセーリングからコースタル程度なら、時にはセーリング
に集中して、感動を手に入ましょう。その為にセーリングを勉強して、艤装を考えて、操作のシュミレー
ションをしてみるのも良いかもしれませんメインシートのトラックがコクピットにあったら邪魔だと誰かが
言った。そんな事は無い。それはヨットをどんな物として捉えるかの違いです。スポーツクルージング派
としてはコクピットにあった方が良い。バックステーアジャスターなんか要らないと誰かが言った。
それはセーリングが二の次だからです。これらの操作が面倒でしょうか?理屈を知って、理解して、
それを操作して、それにヨットが反応して、快適なセーリングが実現していく。このプロセスが感動を
生みます。それにちっとも面倒な操作では無いのです。ちょっとした操作で快適になるのです。これを
せず、返ってバタバタしているクルージング派、せっかくのセーリングチャンスを逃して、ひたすら風
を逃がす。ヨットは動けば良いから、一歩踏み出して、快適セーリングをめざしましょう。どうか、是非
”スポーツクルージング派”宣言をして下さい。

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