第七十六話 時代の流れ

世間ではライブドアとフジテレビが日本放送の株の事で騒いでいます。賛否両論あると
思いますが、これはひとつの流れ、いつかはこういう事が起こっただろうと思います。こ
れが良いか悪いかは別にして、何かが起こり、そして解決策が模索され、長い目で見る
と進化の過程ではないかと思います。事件が多いのも同じではないか、何かがこういう
事件を引き起こし、そして反省の後、修正されていく。そうやって進化していくものだと
思います。所詮、人間のする事は完璧では無いので、常に模索を繰り返す。資本主義
も同じだろう。教育しかり、環境問題、すべてそうではないかと思います。壁にぶちあたっ
ては解決していく。

ヨット界も同じで、今大きな壁にぶちあたっています。それはみんながヨットを楽しんでい
ないという事です。問題にぶちあたった時はチャンスでもあり、問題を問題として解らない
方が問題です。これは問題だと思った瞬間に、解決の方向に向かい出す。ですから、今
はチャンスでもある。次のステップへ進化するチャンスだと思います。

次のステップは何かと言いますと、どうやったらヨットが楽しめるようになるか、どういうス
タイルが良いのかです。或いは、ヨットは不要の物か?不要と断定するには速過ぎる、
何故なら使っていないのですから。使って、その上で不要と判断するなら、それはそれで
納得せざるを得ないのですが、みなさん殆ど使っていませんから、そうは断定できない。
まずは使ってみる事です。世界にたくさんのヨットがありますから、決して不要では無い。

人間に対して、どういう具合に役立つか?役に立つというのは、決して物質的な利益を
もたらすものだけでは無く、精神的な物もある。本当は精神的な物は重要で、人が人と
して居るのは、全て精神から出発しています。物を手に入れて喜ぶのは精神ですから。
例え、嫌な仕事しても、その代償としてお金を得る。お金を得れば嬉しいわけですから、
これも精神ですね。

遊びというものは、人をよみがえらせてくれる。仕事をするにも、蘇った精神ですると効率
は良くなる。もちろん、遊びだけでは食っていけませんが、食えるだけでは充分では無い。
難民の人達はそれどころでは無いと言うでしょうが、しかし、どこかに希望や喜びがわずか
でも無いと生きていけないのではないかと思うのです。日本人は幸福ですね。日本人で
良かったです。

ヨットは精神の遊びを担当しています。いろんな遊びがある中で、贅沢な遊びかもしれませ
んが、そういう風になれた事が、それに値するからです。ならば、存分に楽しんでヨットを
満喫するのが良い。ほったらかしはいけません。最も良く無い行為です。まるで、食事を
残して捨てるようなものです。頂いた食事はできるだけ残さないのが礼儀、手に入れた物
はできるだけその物の存在をまっとうさせるのが礼儀です。ならば、そうできるように、自分
にできる、相応しいヨットを自分のスタイルでまっとうさせてあげましょう。自分にも良いし、
ヨットにとっても良い。

ヨットは遊びですが、遊びと言ってもいろいろです。ヨットは人工ですが、対する物は自然で
すから、人工のルールではなく、自然のルールに従わなければなりません。人工のルール
は不備もあるかもしれませんが、自然のルールは疑う余地の無いものです。ですから、誰
でも、総理大臣でも独裁者でもこのルールに従う事になります。自然のルールが完璧なの
は、ヨットがどんなヨットであろうとも、セーリングにおいて必ずしも大きい方が楽しいとか、
有利とか、そういう事にはならないという事です。人間が決めたレースという意味では有利
不利がある。でも自然のルールにはそういうものは無い。ですから、ヨットさえあれば、誰で
も、自分次第で楽しめる。キャビンが大きいか小さいかは人間が人間のルールで楽しむに
は差が出る。でも、自然に対してのセーリングにおいてのみ、全ては平等です。この平等
さをどう感じて、どうするかは自分次第。自然のルールに怒る事はできません。従うのみ
です。ですから、ストレスが無い。他人のヨットを羨むとストレスになりますが、それは人間
のルール。ストレスの無い世界で、セーリングして、快走するから、何事にも変えがたい
精神の高揚があります。学ぶ事もある。リフレッシュにもなる。緊張も緩和もあり、恐怖も
喜びもある。感情の全てが味わえ、それでいて文句を言ったり、怒ったりしないのですから、
素直になりますね。素直になるという事は本当の自分自身になるという事ですから、安らぎ
さえもある。セーリングというのは、非常に良いもんです。

それでは、そのセーリングを最も気軽に遊べる方法を考えたら良い。急がしくて乗れないと
言う方々も、買って最初の年はしょっちゅうきていたはずです。でも、2,3年経つと来なくなる。
みんな申し合わせたように、2,3年たつと忙しくなるとは思えません。何かが、違っている。
ヨットを覚えたいと思っていた頃は面白かったはずです。でも、ある程度いくと、セーリングから
離れてしまう。キャビンや宴会や島など。それらに重きを置くと、人工ですからまたストレスが
溜まる。宴会するのも大変です。ご馳走は準備しなくちゃいけませんし、片付けもしなくちゃ。
楽しいんだけどストレスもわいてくる。ですからセーリングを主にする事が大事です。セーリング
して、セーリングを楽しんでいれば、ストレスは起こらないと思うのです。その為に、気軽な
セーリング、シングルかダブルのセーリング、自分にあったセーリング、短時間のセーリング
そういう物を推奨しています。そうでなければ、無理をすればどこかにストレスが溜まる。

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