第三十四話 ヨットの評価

セーリング遊びを主体にするのがお奨めなのだが、どうやってヨットを見分けるか。最も簡単な方法
はメインシートのトラベラーがコクピットにあるという事だと思う。手元にあるというのは、操作しやすく
する為、操作するのを前提にしている。キャビン天井にあるのはしにくいし、という事は操作する事
を前提にしているとは思えない。或いは、ほんのたまにしかしないのなら、それで良いのかもしれ
ない。

レーサークルーザーというのがメインシートのトラベラーをコクピットに配している。これで良い。あとは
重心の低さ、復元性、しっかりした船体があれば良い。それに排水量、船型とそれらがどこよりに設計
されているかだが、これは判断が難しい。でも、フリーボードの高さは解るし、バラストも解る。それに
復元性のカーブは資料を入手できるので、これらからある程度は判断できる。後はレベルの問題だろう。

同じコンセプトで安く造るか、少し経費をかけてつくるか、或いは徹底的に品質重視にするか、これら
によって価格が変わる。逆に言えば、価格で解る。バラストは鉄より鉛が良いし、船体樹脂もポリエ
ステルよりビニルエステルの方が良い。何でもかんでもモールド(型)抜きして組み立てるより、積層
の方がしっかりしている。バルクヘッドも接着だけより、積層した方が船体剛性が上がる。そうやって
造っていったヨットはやはり高くなる。それでどこまでやるかは造船所次第。とことんやれば、価格は
高いが品質は良い。でもとことんやれば、たくさんは造れない。さて、どこまでやるか、そしてどこまで
求めるかである。

もうひとつの判断としては、年間建造艇数がある。コンセプトはこの際置いといて、年間に何艇建造して
いるか、これは大きな判断材料だろう。手間をかければそれだけ数多くは造れないのだから。コンセプト
は造船所によって異なるので、それは別の判断となるが、同じコンセプトで、建造艇数が異なれば、
少ない方がより手間をかけていると判断して良いと思う。当然それは価格に跳ねかえる。価格は現地
価格でなければ比較できないが、同じ現地価格でも、販売店マージンの設定の仕方によっても多少異
なる。それで、建造艇数の方がより正確な判断ができるのではないかと思う。

アメリカのアルデン社は年間7、8艇しか造れない。セーバー社は70艇、コマー社は100艇から少し上
程度。ちなみにスワンは30艇、なるほど、価格も品質もこの順番に並んでいる。大量生産艇は数千単位
セーバー38はUS$230,500、日本円で2500万弱。コマー社の38フィートは148,900ユーロで約
2100万弱、なるほどではないでしょうか。もちろん、標準仕様は多少異なりますが。

つまり、品質に悩む事は無い。判断は年間建造艇数と価格、これで判断できる。これで予算と照らし合わ
せて、その中からコンセプトのを吟味する。セーリング重視なのか、キャビン重視なのか、それに外洋性の
度合いです。どちらも一方を重視して、他を無視するという事では無いので、その度合いです。排水量、
フリーボード、復元性、セールエリア、艤装の配置の仕方、そういう事で判断できる。

それで、当社お奨めは、シングルハンド、もしくは大きくてもダブルハンドで楽に操船できる事。セーリング
重視である事。外洋艇でも、極端に外洋ばかりを重視するより、帆走性能よりである事。そして、品質は
少し高く、しっかりした船体を作ってくれる造船所である事。そうすると、ちょっと価格は高くなりますが、
トラブルは少ないし、安心だし、快走セーリングも楽しめる。そしてキャビンだって高級感あふれる充実した
内装です。充分過ぎるぐらい充分でしょう。

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