第七十一話 電動ウィンチハンドル

ヨットマンの年齢が上がるに連れ、メインセールを引いたり、ジブシートを引くのは結構大変に
なりますね。でも、現役のヨットマンでいたい方はサイズを小さくするか、或いは電動ウィンチ
という機械に頼る。それも悪くは無いし、ひとつの電動ウィンチで、かなり重宝します。ところが
この電動ウィンチは、まだまだ非常に高い。50〜60万ぐらいしてます。おまけに設置工事も
必要だ。

そこで、電動のウィンチハンドルなるものがある。ハンドル自体が電動で、これをウィンチに差し
込んで、スイッチを入れれば電動ウィンチに早変わり。でも、これには長い電源ケーブルがつい
ている。ちょっとこれもどうだろう。値段も30万ぐらいする。

そこで発見したのが、充電バッテリーを持った電動ウィンチハンドル。これなら、ケーブルは無し
で、どこにでも持ち運べる。最初の軽いところは手で引いて、重くなったら、これで回す。簡単
にセーリングできるようにするには機械に頼らざるを得ないが、シンプルが良いと言いながら、
それでも、こういう物でご年配の方でも気楽にセーリングに出られるなら、それも多いに結構
でしょう。まあ、これも安くは無い。20万ぐらいになるだろうけど、まあ、他よりは随分安いので
考えても良いのではと思う。見た目は電動ドリルのような格好をしている。先がウィンチの頭に
入る。まるで銃を持つような握りで、トリガーを引く。

メインセールを上げる時に使うなら、こういうのでも充分だろう。それにジブシートを引く場合に
も使えるし、どのウィンチにも使える。とにかくセーリングをするのが目的ですから、その為に
それを可能にする為に、楽にできるのなら良い。

欧米ではマリンマーケットが大きい為に、いろんな人がいろんなアイデアを出してくる。実に
面白いと思いますね。時には、従来の考え方に固執して受け入れがたく感じても、やがて、
それが使える道具なら広まってくる。確かに、電動ウィンチの方がスマートかもしれない。でも、
価格を考えれば、これもありでしょう。全部のウィンチを電動にすると、4個でざっと200万。
それが10分の1で、同じ様に使える。邪道かもしれない。でも、正道に固執してセーリングしな
いより、邪道でも、セーリングを楽しめれば、それで良いと思います。

便利であって、セーリングの醍醐味をそぐような物は受け付けたくはありませんが、それによって
セーリングに出なかった人が出れるようになるなら、それは良い発明だ。そう思っています。

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