第八十二話 5%

消費税の事ではありません。かつて、ある方が言っていた事はヨットを購入して、その後
毎年かかる維持費を船価の5%ぐらい見ておくのが一般的である。アメリカの話です。
日本では係留料が高いので、これが妥当であるか否かはわかりませんが、つまり、維持
費を事前に計算しておく事が大切だという事です。

毎年の船底塗装、エンジン整備、クリーニング、そういうたぐいの費用から、セールの補修
やシート類の交換、その他備品の修理等々にたいていあまり使わないのが一般的です。
でも、こういう費用は必要であると考えて、早めの対策をこうじていくのが理想的です。そう
いうヨットはいつもきれいですし、トラブルも少ない。そして何と言っても古くなっても、全く
見劣りしない。どんなに良いヨットだろうが、メインテナンスしないヨットはみじめなものです。

日本の中古市場も、これからは何年に何をしたという記録が必要とされるようになればと
思います。今は年式でいくら、と値付けされる。これだけでは納得できないが、そうなのです。
車からきているのでしょう。でもヨットは20年、30年でも乗れる事がわかってきた。もっと乗れ
ます.メインテナンス次第です。こう古くなると、ヨットの良し悪しもありますが、メインテナンスの
良し悪しも大きく物を言う。これらが同じ価格ではいけないのです。これから先、もっと古いヨット
が増えてくる。さて、それらがどうメインテナンスされているかで、値段が変わるべきですから、
その差が出てくるでしょう。そうなって本物です。

切れるまでハリヤードを使う。真っ黒に汚れ、かびがはえ、こうなる前に交換です。安いロープ
でも構わない。新しいきれいなロープになると、ヨットは見違えます。ところが、全部一辺に交換
しますと、かなりの出費になります。トータルで200mぐらい使っているものです。

エンジンはオイル、フィルター、燃料フィルター、ベルト、インペラ、等々を年に1回ぐらいは交換
します。それに船底塗装、亜鉛、こういう毎年の整備に加え、10年くらいで、全体を見なおし、
点検する事をお奨めします。この時、余計な私物は降ろして、すっきりしたいものです。

商売柄、中古艇を扱うわけですが、古い中古艇に私物やごみが散乱し、とても汚い。そういう
ヨットでも、船内のごみをきれいに捨て、掃除しただけで、結構見栄えが良くなります。古くても
捨てたもんじゃない。おまけにデッキや船体をバフがけし、シート類を交換し、ウィンチもグリス
アップ、セールカバー類を新調しようものなら、かなりきれいになりますね。見なおします。
そして、セールまで新調したなら、もう完璧でしょう。

最近、20年物を掃除しました。不要な物が出るは出るは、すごい量です。多分オーナーはどこ
に何があるかは記憶に無いでしょう。同じ物があっちこっちから出てくる。思いきって、そういう
長い間使わない物は全て撤去、ソファーの下を空っぽにして、掃除、掃除、掃除。デッキ上の
ロープ類も汚いなりにきちんと整理するだけでもすっきりしてくる。こういうけじめを10年に1回
ぐらい徹底的にやってみてはいかがでしょう。きっと自分のヨットもまだまだ捨てたもんじゃない
と気づくでしょう。自分がこのヨットを今購入したというつもりで、蘇らせる。クリーニングだけでも
相当なものです。あらためて、バルブの位置、作動、ポンプ類、配管、そういう物がきっちり見え
てくる。ヨットがリフレッシュするばかりか、自分自身がリフレッシュされる事に気づきます。

こういう事を自分自身でする事です。自分でできない人はお金を使って、業者にしてもらう。それ
も嫌な人は、ヨットを買っちゃいけません。自分でするなら、でかいヨットは大変です。だから、
そうできるサイズ、サイズは操船できるかどうかだけでは無く、自分で掃除できるかどうかも加味
しなければなりません。

次へ      目次へ