第八十六話 ビッグプロジェクト

先日回航してきましたスワン43ですが、この度、完全レストアする事が決定しました。今から
楽しみです。このヨットは20年ですが、内装は非常にきれいです。最大の難点はチークデッキ
です。ごしごしこすってきたのか、相当削れている部分もあり、少々割れている部分もある。
それにチークが薄くなった分、目地が飛び出ている。本来であれば、張り替えとなるのですが、
今回は目地を全部取って、チークを削り、必要な部分は交換。これで新たに目地の溝を堀り出し
そこに新しい目地を入れる。非常に面倒な処理ですが、これでチークの新しい面が出て、そして
目地も新しくなる。新品のようになりますね。とても期待できます。

船底は古い塗料を完全に剥がし、エポキシコーティングを施して、船底塗装をする。ハルはオーナ
ーの意向で全塗装します。マストを磨き上げて、ブームは撤去、その代わりブームファーラーを
設置する事になりました。ハリヤード、シート類は全部交換、スターンにはオーナーズチェアーを
設置、ドジャーとビミニトップを造り、冬場にはサイドが後部も囲ってしまうフルオーニング。さらに、
操作性を良くする為にメインハリヤード用に電動ウィンチを設置します。シートウィンチまで電動に
しますとそれは高価ですから、今回は電動のウィンチハンドルを使ってみる事にします。外装は
もうピカピカになりますね。

さて、内装です。幸い木部は非常にきれいです。それで、ソファーのカバーを張り替え、カーテンを
新調する事で見違えるようになるでしょう。そして、発電機にエアコン、冷蔵庫、冷凍庫、テレビに
ステレオ、GPSはステアリングの前に設置。陸電が220V仕様でしたので、これを110Vに変更
そのれ伴って、バッテリーチャージャー、温水器を115V用に交換します。

まあ、細かい部分は省きますが、これだけでもこのヨットは新艇のように蘇るでしょう。これは元が
良いから、ここまでやってもその価値が充分にあるでしょう。これから長く乗れるヨットです。このヨッ
ト、20年経っていますが、全く狂いがありません。時々、ドアがよじれていたりする物もありますが、
このヨットは軽く押してカチッと閉まる。全てがそうです。

日本でもようやくそういう時代が来たか、という感じですね。20年たったヨットにお金をかける。そうい
う事ができるようになってきました。そして、その価値も充分認められるられるでしょう。

以前、スワンの53フィートをやりましたが、これもなかなかきれにに蘇りました。20年なんて、どおっ
て事無いのです。今回は一度に全てをやろうというのですから費用もかかりますが、20年の間に
少しづつやっていけば、一度に大きな大工事にはならないし、チークデッキもちゃんと手入れさえして
いけば、今回のような大工事にもならなかったでしょう。毎年、毎年、少しづつ、これも楽しみながら、
ヨットを理解しながらやっていけば、ヨットはきれいな状態を保てるし、自分もヨットに精通する事ができ
ます。これらも含めて、初めてヨットは自分の物になるのではないでしょうか。

この前のSK25もそうです。こうなってきますと、必ずしも新艇が良いとは言いがたいですね。本当は
新艇を売りたいのですが、こういう味のあるヨットは新艇として無かったり、或いはあっても非常に高価
だったり、予算の関係もありますが、質のあまりよろしくない新艇より、名艇の古い奴をレストアした方
が、はるかに良いように思えます。

しかし、スワン、フリーボードが低いです。重心が低い。それにバラスト比40%。それでいて、キャビン
は充分な広さを確保できています。これで十分ではないでしょうか。完成したら、写真掲載します。
乞うご期待!!

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