第八十六話 バッテリー

話は何の脈絡も無く飛んでいきますが、ある方からバッテリーについて質問を
受けましたので、ついでながらここに記載します。バッテリーは通常1個なし2
個、或いはそれ以上積んでいる場合もあるでしょう。最近のヨットは電化が進み
多くの電気を必要とします。キャビンの照明、計器類、オートパイロット、ステレオ
テレビ、それにインバーターなんか使って100Vを動かすと、消費量は格段に
上がります。使うのは良いんですが、それに伴って、チャージの事も考えておかな
ければなりません。

バッテリーの現状を把握するのは、通常ではできません。そういう専用の機器類
が必要ですが、殆どの艇にはそんな物はついていません。そこで、バッテリーの
使い方とチャージについて、考えて使わなければなりません。今時は陸電による
バッテリーチャージができるマリーナが多いので、陸電繋いで、チャージャーさえ
ONにしておけば良いというものでもありません。チャージしながら同時に使えば
放電もしています。それに、チャージャーの能力以上の放電をすれば、いくらチャ
ージしていると言っても、いずれは消耗してしまいます。確か、そのバッテリーの
40%程度を使ってしまったら、もう使えない。

バッテリーが1個の場合、電気の使い方は最小限に、また長時間使うと、今度
エンジンをかける時にかからないという事もありますので、要注意です。できれば
2個のバッテリーにされると安心です。この場合、1個をエンジン専用として使い、
もう1個をその他のサービス専用とする。そうすればエンジンがかからないなんて
事は無くなります。片方でエンジンかけて、もう片方にスイッチを切り替えれば、
エンジンのオルタネーターは消耗されたバッテリーを充電します。何故そうするか
と言いますと、エンジンのオルタネーターはスイッチONになっているバッテリーのみ
を充電するようになっています。又、過充電防止で、満杯になったバッテリーには
充電しないようになっています。それで、2個のバッテリーを同時にONにしておくと、
片方が満杯になり次第、充電はしなくなります。もう片方が満杯でなくてもです。
ここは要注意です。ですから、バッテリーの使い方に気をつける必要があります。
両方がだいたい同じ程度の使い方なら、両方同時チャージで良いでしょうが、片方
が極端に少ないなら、そちらを優先してチャージすべきです。

参考までに、オートパイロットを最近良く使いますが、モーターは電気を良く食います。
ただ、オートパイロットはその海の状況によって、しょっちゅうモーターが右に左に回っ
ている時もあれば、あまり動かない時もある。それによって消耗は異なります。

陸電によるバッテリーチャージは、船に居ない時はあまりお奨めしておりません。
24時間チャージャーONの時、バッテリーは自然放電してはチャージされ、それを何度
も繰り返します。長い間そのままにして、しかも艇によては冷蔵庫をONのままという
船もありますが、この充放電の繰り返しで、バッテリー液が無くなるケースがたまにあり
ます。バッテリーを換えたばかりなのにエンジンがかからない。調べてみるとバッテリー
液が空っぽというケースもあります。ですから、ヨットに居る間はチャージャーONで、帰る
時はOFFにしておいた方が良いのではと思います。それに、何日も留守にするのに、電気
が入って動いているというのも怖い気がします。何かあったら、誰も対処できませんから。
古いと言われ様が、その方が安心なのです。

ついでながら、バッテリーのターミナルも時々はチェックして下さい。緩んでいると、エンジン
がかからなくなります。エンジン始動には大量の電流を必要とします。それがターミナルが
緩んでいたりすると、電圧は12V以上さしていても、電流が必要分流れないのです。
ヨットはセールで動くのが主ですが、今時バッテリーは大切な道具ですから、使い方を考えて
トラブルを避けてください。ちなみに、バッテリーチャージャーは過充電防止装置がついていれ
ば、バッテリーが満杯になると充電を停止しますので、充電していなければ、バッテリーは
満杯と考えて良いと思います。

まあ、多くの電化製品をお使いの方はバッテリーを増やして、サービスバッテリーを2個とかに
されるともっと安心して使えます。これまでの通常の使い方を考えて、今後を検討してみて下さい

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