第二話 あるオーナーからの便り

先日、ノルディックフォーク25に乗ってきました。と言いましても、ほんの1時間
ぐらいでしょうか。風も穏やかで、もうちょっと吹けばと思いますが、オーナーも
このヨットの本当の面白さは、海面に白波がたつくらいが最も面白い、このヨット
らしさが出るとの事。

” ちょっと白波が立つような海況で、フォークボートらしい帆走りを味わえば、一発
で欲しくなるような船だとおもいます。微風だと、なかなか良さが分からないです
ね。北橋さんにも、ぜひ、白波が立つような日に乗っていただきたいですね。今まで
とは、また違った印象があるのではないかと思います。初めてフォークボートに乗っ
たときは、ヨットって帆で走る以上、どれもそんな違いはないなと思ったのですが、
今では乗るほどに良さが分かってきました。まだまだ、深い味わいを見せてくれそう
です。これから30年くらい乗り続けても、飽きそうにはないです。” オーナーの弁です。

一般ヨットから見れば、何も便利な物は無いし、キャビンはオーナー曰くうなぎの寝床
だそうだ。それでも、このオーナーの弁は一体何だろう。

何でもできるという人より、これができるという人の方が良い。これは昔、人事から
聞いた話。何でもできるヨットを目指し、でも最もエキサイティングなのは、強烈な個性
を持つヨット、その分野を楽しむなら最高といえるヨット。他人が何言おうが一向に構
わない。そう言える人は幸福だ。おりこうさんヨットでは、面白さも半減する。何にでも
使えるヨットはどの分野でもそこそこなのではないでしょうか。もちろんそういうヨットが
あっても良い。でも、面白いヨットは、強烈な個性があり、それが面白い。本来、ヨット
なんてものはそれで良いんじゃないかと思います。いろいろ手間かかる奴だが、それが
また面白い。気を使ってやらねばならないが、つぼに入ると強烈に面白いとか。

フォークボートというのは、フォークソングと同じ、みんなのヨットという意味です。ドイツ
のフォルクスワーゲンも同じ、大衆の物です。何ら特別では無い。みんなが楽しめる
お気軽ヨットです。自転車みたいなもんです。シンプルで何も無い。

航海灯も無い、キャビン照明も無い、清水も無い、シンクも無い、マリントイレも無い。
♪おらこんなヨット嫌だ〜、おら、こんなヨット嫌だ♪(かなり古いですが) おまけにメ
インセールのリーフも無い、そんな物必要無い。でも、アンカーある、ウィンデックスある、
係船ロープある、船底塗装もある。フェンダーもある。時化にはめっぽう強い。

気軽も気軽、ヨットなんかその程度で良い。そういう考え方もありではないかと思います。
ヨットが全てというわけでは無い人にとって、他にも遊びがたくさんある人にとって、ヨット
に全てを望まなくても良いわけです。ちょいと来て、さ〜っと乗り回して、ぱっと帰る。
また今度。で、午後から別の遊び行ってしまう。これもありでしょう。まさしく、海の自転車
それもジャイアントな頼もしい自転車です。
小さいけれど、頼もしいヨット、これを自由自在に操作する。これって良くないですか?

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