第四十九話 メインテナンス

どんなヨットだろうが絶対欠かせないのがメインテナンス。これがヨットの寿命を
支えると言っても過言では無いと思います。また、その中で絶対必要になるのが
船底塗装です。

船底塗装には自己研磨型とそうでは無いのがありますが、自己研磨型が良く使
われていると思います。これはその名の通り、塗料が少しづつ剥げ落ちていきま
す。次の塗装をする時に古い塗装を落としやすいメリットもある。ところで、たまに
見かけますが、古い塗装を充分にサンディングして落とさず、重ねて塗装し、かなり
厚く、それも凸凹のも多い。それに良く見ると、藤壺の根っこが残って、その上から
新しい塗装をしてあるのもある。これは論外です。藤壺の根っこはもちろん、できる
だけ古い塗料をサンディングして落として、それから新しい塗装をしてください。
ただ、船底塗装をするだけでは無く、下地にエポキシコーティングをする事もできま
す。エポキシは水分の浸透を避けるバリヤーの役目をしてくれますので、もし、万一
ちょっとでもオスモーシスが出たなら、エポキシコーティングをした方が良い。もちろん
通常からしても良いわけですが。

船体はFRP共通ですが、ポリエステル樹脂が一般的です。これは水分を吸収します。
それで海水が浸透し、積層間の気泡に達し、化学反応をおこしてオスモーシスになる。
深い場所ですと解り難いですが、表層の場合、膨らんできますので、コブみたいに出て
きます。これがビニルエステル樹脂ですと浸透率が下がり、エポキシですともっと下がる
で、高価でもある。

プロペラシャフトやペラなどの金属部は高回転で回りますので、通常の塗料ではすぐ
に落ちてしまいます。それで専用の塗料を塗ります。それでも、なかなか完全には行か
ないです。金属部が最も藤壺なんか付きやすいです。ペラが汚れてしまうとてきめん、
振動が出たり、負担が大きくなる為、黒煙が出たり、艇速が落ちる。

後は、エンジンのオイル、フィルター類を定期的に交換する。最低でも年に1回はした方
が良いでしょう。エンジンの汚れ、エンジンルームの汚れなど無いようにきれいにして、
オイルの一滴でも落ちたらすぐに解るようにしておく。こういう事を考えますと、エンジン
ルームが開けやすい、エンジンが見やすい、点検がし易いという事が大切で、やり難い
構造になっていますと、人間はしなくなるもんです。それから、スタンチューブの漏れが
ないか、ビルジポンプの作動、オートマチックなら、そのスイッチが入ってちゃんと動くか
ビルジ溜まりは日常的に、乗る前と後に見る。

見るという事が大事で、見れば、何かが漏れていたり、錆びがきはじめたりするのが解り
ますから、大きくならないうちに対応できます。すると簡単な処置で終わる事が多い。
見ないと、その現象が大きくなってはじめて気づくので、修理代も高くつきます。あっち、
こっち簡単に見れるようにするという事は、あまりたくさんの荷物を積み込みますと、いち
いちどかさないと見れなくなりますので、できるだけ不要な物は置かない事も必要では
ないかと思います。荷物の下にゴキブリの死骸があったり、ゴミだらけだったり、バルブが
錆びて動かないなんてことは珍しくありません。

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