第二話 中古艇VS.新艇

市場には中古艇が不足と言われて久しいのですが、その兆候はもっと進んでます。
皆さんも実感されているのではないでしょうか。車なら考えられない事ですが、ヨット
は結局、長〜く使えるという事が解ります。特に20年前のヨットなんか、しっかり造
られていますので、手を入れてやれば全く問題なく使えます。でも、もうそろそろ新艇
に登場して頂かないと、ヨット界も老婆ばかりになってしまいます。ここらで、ピチピチ
の美女を入れて頂かないと、マリーナが華やかにになりませんので、是非、新艇ヨット
をご検討いただきたいと思います。各業者が心待ちにしております。私もです。

中古も確かに良い。安く買えます。でも、新艇のピカピカした船体、気持ち良いです。
オーナーの思いにあるコンセプト、ファミリークルージング、ちょっとスポーティー、或い
は外洋志向、それにもちろんデイセーラー。どれかに限定する必要はもうとう無いのです
が、最も使える部分のコンセプトをしっかり持って、これぞというヨットを見つけて頂きた
いと思います。ヨットは安い投資ではありませんが、ちゃんと見極めて、存分に使ってい
けば、その分のグッドフィーリングとして戻ってきます。このグッドフィーリングこそが、全
ての目標みたいなもので、目に見えないものですが、この気分に勝るもの無いと思いま
す。良い生活したい、成功したい、良い仕事したい、全ては良い気分になるのが目的です
から、ヨットを手段として、できるだけ多くのグッドフィーリングを得る。家族を乗せてあげ
たい、子供に体験させてあげたい、シングルで自由自在にセーリングしたい、仲間と宴会
したい、島巡りをしたい、世界を回りたい、全てはそれを手段としてグッドフィーリングを得
るのが目的ですから、ヨットのどんな部分をどのように楽しみたいのか、そして、今居る
環境で、それがどのぐらいできるのか、それで、いろんなコンセプトの中で、誰でもできる
のがデイセーリングだと言ってきました。誰でも、日常に楽しめるのはデイセーリングです
世界を回る方でも、日常はデイセーリングを楽しむ。

世界中にはたくさんのヨットがありますが、その中から、クラシック、デイセーラー、スポーツ
外洋艇、ファミリーヨット、いろんなジャンルの良い造りをしたヨットを集めております。デザイ
ンは好き好きなのですが、造りという点では、やはりしっかり造られたヨットは実際の帆走に
おいてグッドフィーリングが得やすいと思います。グッドフィーリングは最終的にはヨットに頼る
安全性が根底にあって、安心して乗れる。ヨットのキャパシティーの大きさはオーナーを支えて
くれるからです。安心があって、体も支えてくれますので、セーリングしていてグッドフィーリング
が得やすい。不安の中では、そうはいきません。

かつて、あまりご経験の無いオーナーとその奥様がクルージングで出かけられました。行き
は良かったのですが、帰りはかなり時化て、その中を50マイル程走って帰ってこられました。
時化たので多少は辛かったものの、でも、全く不安は無かった。そう言われた時は、こちらも
嬉しいものです。どんなジャンルのヨットであっても、波が高いとか、風が吹き上がってくると
か、そういう場合が必ずあります。良いヨットはそういう時にこそ本領を発揮し、オーナーを
より安心させてくれます。車と違って、ヨットは悪路を走るようなものです。舗装道路ばかりな
ら良いのですが、海は陸の悪路以上に条件が悪い場合があります。安心はオーナーの気持
ちと体を支え、グッドフィーリングに繋がっていくと思います

でも、ただ頑丈なら良いというわけでもありません。今時はそういうヨットは少なくなりましたが、
やはりヨットは帆走するもんですから、帆走してグッドフィーリングを得られる事が大切かと思い
ます。ただ、これは速ければグッドかというと、これもまた違います。速さだけでは無いですね。
バランスの良さ、波あたり、直進性、乗り心地なども大切です。それに風上への上り角度も意
外と帆走すれば気になります。この間も、あるヨットにオーナーと二人で乗ってきましたが、上
りが今一、場合によっては、タックの繰り返しでも位置はあまり変わらなかったりします。こうい
うちょっとした事が総合してグッドフィーリングに繋がっていくと思います。

もちろん高価なヨットだけが良いと言っているわけではありません。どこに重点を置いて建造して
いるかだと思います。やはり建造の構造や工法、そしてやっぱりヨットはセーリングする姿が
最も美しいので、セーリングを軽んずるわけにはいきません。セーリングが楽しい、グッドフィー
リングが得られるヨット、セーリングで良い気分になれば、宴会でも、泊まっても、それらをさらに
盛り上げてくれます。

それでセーリングを自分で演出していきます。いつも最高のセーリングを目指します。先日は
良い風吹いてましたので、よし、今日は帰りのダウンウィンドでジェネカーが面白そうだ。そう
思って出たのは良いのですが、帰りにぱったりと風が無くなってしまいました。まあ、こういう日
もある。でも、前の時は良かったですね。ジェネカーで気持ち良く走ってくれました。気分は最高
でした。で、帰ってきてからのビールは最高にうまかった。余韻にひたってましたね。オーナー
も私も、もう一回行こうかなと思うぐらです。それでまた後日、その感覚をもう一度、と思って、
また出るわけです。

ヨットにはそれぞれ良い風があって、ヨットによって違います。このキャパシティーが大きい程、
グッドフィーリングの機会も多くなる。舵の操作の手に伝わる感覚、シートを操作する時に船体
が反応する感覚、快走時は実に良い感じになります。ピンと張りつめた感覚、そして走りぬけて
いく感覚、何とも言えないグッドフィーリングがあります。誰でも、そういう機会に恵まれたなら、こ
れぞヨットと感じるのではないでしょうか。クルージング艇でもです。セーリングはレーサーの専売
特許ではありません。全てのヨットに与えられた能力です。これを味わうか味あわないかは大き
な違いになると思いますので、是非、皆さんにヨットやるからには味わっていただきたいものです。
別に難しい事しようというわけでも無く、ごく当たり前にセーリングをすれば、そのうち誰でもそう
いう機会に恵まれます。是非、楽しんで下さい。

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