第二十八話 シンプルも良いもんだ

最近のヨットは何から何までついてます。それが当たり前のように感じますが、一方、ノルディックフォークは標準ではシンプルそのものです。でもこれがまた気軽で良いという考え方にもなります。
 
上の写真はノルディックフォーク25のキャビンです。実にさっぱりしたもので、両サイドにクッションがあって、左舷手前に引き出しのある棚がある。それだけです。照明、ありません。航海灯は夜間航行無しでしたら不要、そうしたらバッテリーも不要。エンジンは船外機ですので、スタンチューブ無し、マストはスルーデッキですが、マストの中に入るであろう雨水はデッキから上で外部に出るようになっていますので、ビルジが全く溜まらない。キャビンは完全ドライです。

考えようによっては、この方が気楽で心配が無い。バッテリーのスイッチを切ったかどうかなんて心配無用、照明はキャンプ用なんかを持ち込む事もできる。夜間航行はしないのであれば不要だし、万一の時は電池で点灯する航海灯もある。実際、何人も見に来られて、実際にキャビンに座ってみると、これでも充分だなという感想をもたれます。左右のクッションに二人寝れるし、バウにクッションを入れれば、大人一人か子供二人ぐらい寝れます。まさしく、キャンプ気分。ただ、トイレだけはポータブルトイレを入れてください。入り口を閉めて、個室とする。まあ、何も無いが、何故か寛げる。落ち着ける空間です。

小さなソフトタイプのアイスボックスに、飲み物と弁当入れてコクピットに置く。それでセーリングに出ます。デイセーリングを楽しんで、海上でランチを楽しむ。帰ってきたら、コーヒーでもと思うなら
カセットコンロを入れておけば、コーヒーを入れて楽しめる。ドアの鍵をかけたら、それだけ。何も心配要りません。夜間は、キャビンにキャンプ用の照明などを使えば、寝泊りもできます。考えてみたら、シンプルで何も無いようで、ちょっと工夫すれば、一通りの事は難なくできます。こういうヨットも良いんじゃないでしょうか。そして、姿は美しいヨットです。シンプルですから、自分でいろんな手入れをするにも簡単。

船外機より線内機と言われますが、マリーナを出たらセールを上げる。船外機ですから、ペラにロープ巻いても、潜って取る必要が無い。スタンチューブも無い。無い無いづくしでも、これがかえって気楽という考え方もある。

シンプル、それでいて充分楽しいセーリングができて、余計な心配もしなくて良い。そして、何と言っても美しいクラシックタイプヨット。存在感あります。但し、念の為に言っておきますが、オプションで
照明も航海灯も、ジブファーラーもファーリングジェネカーも、メインセールのブームファーラーもあります。でも、標準に近い仕様がお奨めです。

 

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