第八十八話 北欧

デンマーク在住の方からメールを頂きました。前はウッドのノルディックフォークに乗られていて、現在はスペックホッカーというヨットだそうです。聞いた事の無いヨットですが、古いヨットだと思いますが製造中止になって、人気が高いので再び注文生産するそうです。



ホームページの写真を見てますと、何かみんな乗りこなしているという感じがします。時化たら乗らないんじゃなくて、ライフジャケットをきちんと着て、乗り回す。禁止するより、教育するという事だそうです。なる程、日本はちょっと危ないと禁止、禁止、近寄るな。

日本は結構時化る海ではないかと思いますが、今回、なる程と思った事があります。それは日本では微風、軽風で乗って、強風になると乗らなくなる。北欧では、強風でもどんどん乗る。その風に対する違いです。感覚の違い、吹いてきた、今日は面白いぞ、と思うか、今日はやめとこか、と思うかの違いです。これは以前、ニュージーランドから来た人にも同じ事を言われましたし、もう随分前になりますが、ヨーロッパから来られた身体障害者の方々を載せた時、かなり時化てたので、とりやめにしようと言いますと、付き添いの方はこのぐらい問題無い。本国では乗ってるから、と言われていた事を思い出します。

つまり、どんな風域で乗るかです。キャビンライフを重んじる方々は強風では乗らないでしょう。でも、セーリング重視の方々は強風域でも乗りたい。安全にです。ですから、そういう強風域でも乗れるヨットを購入する。重めのヨット、重心の低いヨット、しっかりした剛性の高い船体、そういうヨットが好まれるので、当然ながら選択の種類が異なる。波が出ても、あたりが柔らかく、オーナーをサポートしてくれるヨット、そういうヨットですね。

セーリング重視のスタイル、キャビン重視のスタイル、そういう事でヨットの選択は異なってきます。
北欧からやてきたノルディックフォークはまさしく、そういうヨットです。重くて遅いヨットではありません。強風において、フルセールでビュンビュン走れるヨットです。速いんです。

キャビン重視なら、大半がキャビンなので、まあ、たまに気晴らしにちょっと乗ればいいかもしれません。でも、セーリング重視なら、風がある時がセーリング日和、どこまでの強風で乗るかになりますが、そういう強風に強いヨットに乗って、もっと風域の枠を広げて、もっとエキサイティングにヨットのセーリングを堪能しよう。恐らく、この姿勢が日本には無かった。だから、いまいち、面白くなかったのではないかと思います。強風でも、ディンギーはどんどん練習に出てるのに、何ででかいヨットが出無いの?と聞かれた事があります。確かに、そうですね。やわなヨットじゃ、疲れるかもしれないが、頼もしいヨットなら、最高のセーリングを、そのドライブ感を与えてくれる。

日本はやたらと、ジブファーラーだ、メインファーラーだ、ドジャーだ、ビミニトップだと設置します。もう意識が、セーリングにおけるドライブ感からは離れている。これからは、セーリング派は面白い、エキサイティングなセーリングを目指しませんか?だからと言って、強靭である必要は無い。強靭なヨットが助けてくれます。ヨットはオーナーの味方です。

安全を無視しろ、というわけではありません。でも、少し自分の枠を広げてみませんか。そうすると、今まで知らなかった新しい世界が見えてくる。ライフジャケットつけて、縦横無尽に走ってみませんか?デイセーリング、スポーツクルージングしてみませんか?

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