第29話 新艇と中古艇

不況という亡霊のせいで新艇がなかなか売れず、中古艇の需要が高い。その反面中古艇の数が市場に
少ない。これが現状です。本当は新艇をひとつでも多く売りたいのですが。中古艇はオーナーが変わるだ
けですが、新艇は日本にヨットの数が増えるという事ですから、全体の発展には大事な事なのです。

ヨットを選択する場合、新艇だからといって完全では無いのです。新艇ははっきり言って未完成なのです。
何故かと言いますと、未だ実際に走っていないからです。どんなに素晴らしいヨットでも、実際走ってトラブル
の修理や調整を重ねて、そして完成にもっていく。これが世界の常識です。新艇だからトラブルが出ないという
事は無いのです。進水して最初の年はこのシェイクダウンにあてましょう。乗ってトラブルを出し、修理/調整
を行う。そういう期間です。海外ではこのシェイクダウンが終了した船齢の若いヨットが新艇価格より高く中古
市場で売られるという現実もあるのです。日本ではありえない話ですね。

という事は日本では船齢の若い入念に手入れされたヨットを買う方が新艇より良いという事になりますね。
価格も落ちて、状態も最高です。でも、残念ながらこういうヨットは少ないのです。購入にお金をかけても、手入れ
にはなかなかお金をかけない風潮があります。だから、メインテナンス抜群のヨットに出会ったらラッキーです。

海外ではサベイヤーという職業があり、ヨットをプロの目で隅々までオーナーに代わって調査してくれます。そして、
適正価格も出てきます。つまり、同じ年式の同じヨットでも状態によって価格が変わります。だから、海外の中古
艇はメインテナンスが良いですね。手をかけておけばその分高い評価を得られるのですから、そして、保険にも
適用されるのです。日本でもこういうシステムができると良いのですが。売る方も買う方にとっても良いと思います。

インターネットで海外の中古市場を調べてみますと、その数万という数で出てきます。さすがに市場規模が違う。
全体的に言える事は数ばかりでは無く、価格が高いという事です。日本の中古価格は落ち過ぎではないでしょう
か。とは言っても、手入れの度合いから考えますと、海外のヨットの方が良く手入れされていますから納得せざる
を得ないというところでしょうか。それに古いヨットでは40年、50年物なども販売されています。しかも、とてもきれい。
これには感心しますね。だいたい1950年代頃までは木造艇で、1960年代からFRP製が出てきます。先日、イン
ターネットを見ていましたら、当社で扱っておりますノルディックフォーク25の中古艇が売りに出ていました。これ
一艇だけだったのですが、40年物、当時は当然木造、何とこれにUS$40,000の値段がついていたのです。
40,000ドルといえば約500万ですよ。しかも40年も経っているのですから、驚きです。これが良く手入れされて
いるようで、大事に乗れば永く、永く乗れる。ヨットはそういうものです。

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