第65話 セール

前回でセールの話を少ししましたので、少し続きを書きます。セールにはドラフトという
丸くふくらむ部分ができますね。あれはわざとできるように造られています。どの程度
のドラフトを造るかは厳密に言うとオーナー次第なのですが、そこまで考える事も無い
でしょう。例えば、メインセールのラフ(マストに沿った部分)はストレートにカットされて
いません。少しカーブしています。それで、真っ直ぐなマストにつけると、自然にドラフト
ができる。ドラフトが最も深い状態です。レーサーはこのドラフトを調整する為にバックス
テーを引き、マストトップを曲げます。曲げるほどにドラフトは減少し、セールカーブと全く
同じぐらいまで曲げるとドラフトは消えます。フラットになるわけです。

トップばかりでは無いですよ。下の部分も同じです。ブームバングを締めると、ブームは
マスト側に押され、マストのブームがついている部分が前に曲がります。これもセール
カーブと同じカーブまで曲げればフラットになる。そういう理屈です。

ジブセールはセールによりますが、強風用であれば、フォアステーがサギングしてくる。
丸くたわむんですね、風の力で、それでサギング量を見越して、サギングした時にフラット
になるとうカットされています。だから逆カーブしています。微風用はあまりサギングはしま
せんから、サギング無しでも充分ドラフトが出るように設計されています。

ドラフトはセール中央の前側に来るように調整され、量は状態によって深くしたり、浅くしたり
します。深いドラフトは車で言うならローギヤ、パワーがあるので、加速や波があるときなど、
ドラフトが浅いとハイギヤー、こういう感じです。

バックステーアジャスター、ブームバング、フラッター、カニンガム、フォアステーのテンションを
調整できる油圧式のものもあります。ここまでやる必要は無いと思いますが。一応、知っていて
も損は無いでしょう。



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