第十一話 日本人にはスポーツ

前話の結論は日本人はヨットをレジャーとしてより、スポーツとして見た方が堪能できるというものでした。キャビンを日本人が使いこなすには、意識が変わらないとできません。遊びを良いものとして、歓迎すべきものとして捉えるようになる必要がある。ある人が、サラリーマンですが、休みが取れないと愚痴をこぼしていた事があります。ところが、部下が休みを申請すると、そう言った人が、部下に嫌味のひとつも言う。これでは、気分良く休めない。日本は変わってきました。しかし、まだそういう風潮がある。良い悪いの問題を言ってるわけではありません。そういう意識があるというだけです。そういう中にも、やはり人間ですから、休暇、レジャー、息抜き、等々は必要ですから、それを一歩進めて、ヨットをレジャーとしてでは無く、スポーツとして、捉えてはいかがでしょうか、という提案を致しました。余暇はたまにだからできる。スポーツはレギュラーでできる。健康の為にジョギングするのと何ら変わらない。ジムに通ったり、水泳したり、そういうのと同じです。体を鍛え、健康を維持し、精神もスッキリ、そういう自分ペースのスポーツです。

ヨットはそれだけには留まらない。スリルも味わえるし、走り抜ける躍動感もあるし、他のスポーツと違って、それ程体力を使わなくても、ドライブ感が味わえる。これが車ともモーターボートとも違うところです。もっと言えば、自転車ともバイクとも違う。風という不確かな、それもいつも変化する自然をエネルギーにするわけですから、そりゃあいつも思ったとおりには行きません。しかし、だからこそ、うまく行った時は全く違う世界が味わえるというものです。スポーツして、別の世界が味わえる。こんな良い事ないです。山に登るのもまた違う。グライダーで空を飛ぶのと似てるかもしれませんね。私は経験無いですが、グライダーの方がヨットされるのも少なくありません。解る気がします。空は3次元ですが、ヨットが水面上の2次元ですから、もっと気楽にできるかもしれません。

ヨットでスポーツするとなりますと、やはり、より速く走る。よりスムースに操作する。自分のヨットをより良く知って、滑らかな走りをする。それがひとつひとつスピードとなって、風を受ける感覚となって、スムースな流れとなり、美しい動きとなって、感じられる。この最後の感じが最終目的です。より良いフィーリングを得る。これが何物にも代えがたい。自分でその変化が解る。スムースさが解ってくる。それが良いんです。

そして、時にレースなんか出ても良いですね。できればワンデザインのレースの方が良いんですが、日本では単一モデルがたくさんは無いので難しいですが、レースは普段のスポーツセーリングをもっと面白くさせる要素もあります。普段やってる事を、楽しんでやってください。シングルで出たって誰も文句は言いません。もし、少しでも上位に行ければ面白いじゃないですか。他のより大きなヨットより速ければ嬉しくなるもんです。でも、あくまで、これはスポーツの一貫、ドライブ感を感じる事の合間のお遊びです。年に1回でも2回でも、そういう所に参加して、みんなの交流を図るのも結構かと思います。レースは普段エンジン使う人も、この時はご法度ですから、普段、どのように乗っているかも解りますね。

是非、スポーツして、ドライブ感を楽しみ、腕を上げて、ヨットに熟知し、メインテナンスも楽しみ、
胸をはって、俺はヨットマンだと宣言してください。これは大変な事でしょうか?そんな事は無い。
誰でも、その気になればこの面白さを自分の物にできます。60代でも、70代でも、或いは40代でも50代でも、自分なりのスポーツができる。初心者でもベテランでも、自分のセーリングができる。
そこが良いところです。デイセーリングの良いところです。

ゲストを招待した時はレジャーでも良い。でも、ちょっとだけスポーツの片鱗を見せてあげても良い。その方が招待された方も楽しいはずです。ピクニックセーリングも結構です。乗るのは同じなんですが意識が違います。スポーツクルージング、ピクニッククルージング、船旅、エンターテインメン
トこれらを意識して使い分けてはどうでしょう。

ヨットは二つに分かれます。ひとつは荷物をたくさん積み込んで、より快適を目指すタイプ、もうひとつは荷物を必要分だけにしてセーリングするタイプです。
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