第十七話 航行区域

日本のルールでは全てのヨットは航行区域が定められます。そのルールの中に、コクピットが自動排水が前提になっています。

わがノルディックフォークというヨットは標準仕様ではコクピットが自動排水ではありません。コクピットの床は海面よりも下にあります。という事はこれにひっかかってしまいます。コクピットの床が低く深いので、非常に守られた状態になります。このヨットの性能、構造面としては外洋艇です。日本を除く世界ではそう認識されます。事実、世界一周などや外洋航行の例も少なくありません。つい最近も大西洋横断された方がおられます。そういうヨットなのですが、日本では認められない。

実は、コクピットに海水が入りにくい船型でもあるし、もし入ったら即座にビルジポンプで抜けるようになっています。航行中、海水がコクピットに打ち込んできた時、コクピットが自動排水であるという前提でのルールです。造船所からは、世界中で、こんな事を言われたには日本が始めてだと言われました。自動排水コクピットにする事も可能ですが、できれば、このまま深いコクピットにしたいので、そういう交渉をしています。

 左の写真がディープコクピットです。床下
 には約200リットルぐらいのビルジ溜まり
 があり、それはビルジポンプですぐに排出
 できます。これが深いというだけで、検査
 が通らないというのはどうも解せないので、
 現在、ヨーロッパのCE企画の証明書、図面
 ビルジポンプの性能、そういったものを提  出して、交渉中です。平水はおろか、最低
 でも限定沿海取得を当然と考えております まあ、小型船舶の方も拒否せずに前向き
 に検討いただいております。

 自動排水にしても、コクピットに大量に波
 が打ち込めば、すぐには排出されません。
 まして、そういう時はかなりヒールしている状態でしょうから、コクピットの片側が水面下に潜って、排水どころか、逆に排水口からコクピットに海水が入ってくる事もある。考えようによっては、このヨットはビルジポンプで排水はほとんど完全に排出が可能です。

さて、もうひとつ。エンジンを搭載しなかったら、検査の拘束を何ら受ける事がありません。検査自体が不要、どんなに小さなヨットでも、どこにでも行って良いし、検査も無いし、安全備品の拘束も無い。これもちょっと不思議な規則ではないかと思います。ルールはその時の社会情勢によって変わる。発展状態によて変わる。今回、そういう意味でも、きちんと検討して頂いて、きちんと情勢にあったルールを造っていただきたいと思っています。最低限定沿海+沿岸5マイル規定ぐらいは当然クリアーできなければならないと思ってます。本当はオール沿海でも良いはずです。

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