第二十八話 暴言、ヨットは男の遊び道具

ヨットは男にとって遊び道具です。奥さんや子供達を乗せるのは、たまにその道具で遊ばせてやる程度、ファミリーのヨットじゃありません。あくまで男の道具なんです。女性がオーナーなら、それは女の遊び道具です。車もファミリーカーというのがありますが、それは純然たる家族の車。家族で出かける時、買い物にも使う。それで、自分の用事の時も使う。有用性が高いです。でも、ヨットは
道具です。ファミリーヨットではありません。家族は有効性という意味では使わないし、たいていは年に1回とかに来る程度。全く来ない場合も多い。そうなりますと、ヨットはやっぱり男の遊び道具なんです。車なら、セカンドカー、それもスポーツカーみたいに、自分の好みで、有益性など考えずにスポーツカーを手に入れる。ヨットは最初からセカンドヨットみたいなもんで、ファースヨットにファミリーヨットなんて考えは無用ですから、最初から男の好みで選ぶべきなんです。

でっかいヨットを快適にして家族を乗せて走る。家族思いのお父さんには頭が下がりますが、そんなヨットはセーリングが面白く無い。男の道具なのにファミリーヨットを持ってきては面白く無いんです。だからみんなヨット買った時だけしか乗らなくなる。家族は男の道具に、ちょっと乗せてあげるだけで充分なんです。彼らは彼らのスケジュールがある。

男の道具にはこだわりがあります。自分なりの好み、センスがあります。奥さんの目には何の価値も無いにしても、男には哲学がある。理論的にどうこうでは無く、有用性も無く、でも男はロマンチストですから、男の美学にこだわる。できるならとことん追求して、ヨットを乗りこなせるようになるまでに至ると、何の価値も見出せなかった奥さんから見ても、一目置くようになる。中途半端はいけません。徹底的に家族思いになるか、徹底的にヨット乗りこなすか、どっちかの方が良い。

スポーツカーが人気なのは、共通した物があるように思います。スポーツカーは男の道具です。車はスポーツカー1台というわけにはいかないでしょう。家族が乗れる車が必要ですから、セカンドカーになる。でも、ヨットは家族は来ないので、道具に徹しましょう。その方が絶対面白い。考えても見てください。ヨットが移動の道具なら、年に1回しか使わない。ドライブを楽しむ道具であるからこそしょっちゅう乗れる。家族が来ないとしたら、よりドライブ感の堪能できるヨット、そういうヨットの方が面白いに違いない。そんなヨットだとしても、スポーツカーのように2シーターとかじゃないんですよ。家族全員だって乗れるんです。ちょっと遠出だってできる。

そういうヨットでも品質の良いのになると、でかいのより安定感あるし、時化にも強い。クルーがいつでも望む時に来てくれるなら良い。でも今はクルー不足の時代です。家族がみんなヨット好きで、どんどん来てくれるならでかいのでも良い。でも、そんな事は稀です。ファミリークルージングも良いかもしれませんが、それより男の道具として、こだわって、乗りこなす。それの方が遥かに面白いんです。釣り好きが道具にこだわりますよね。あれなんかは、最初から家族の事なんか考えていないんです。奥さんには悪いですが、でも、だからこそ徹底的に遊べるんです。面白くできるんです。
家族の事考えていたら、セーリングなんかしょっちゅう行けません。家族の事を考えるなら、ヨットに泊まる、別荘的な使い方しか無いんです。でも、そんな事めったにしません。ヨット手に入れて、
2年目には使う頻度は激減してしまいます。

ヨットは男のこだわりの遊び道具、冒険の道具、ロマンでもあります。それで、家族の事はヨット以外のところで考えてあげましょう。毎週土曜日に半日セーリングを堪能して帰ってくる。日曜日は奥さんの為にあけておく。そういう事もできます。ヨットで奥さん孝行しようと決め付けるのは、奥さんにとって迷惑かもしれない。家族はたいてい、年に1回ぐらい家族でクルージングできれば良いわけです。後の364日は男の物です。それに対して、キャビンヨットにするのは道理に合わない。逆にすべきです。そう思うのですが、いかがでしょうか? ヨットは男の遊び道具です。家族で遊ぶものでは無い。

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