第三十ニ話 マリーナ

マリーナという場所はヨットを保管すれば良いという問題でも無いようです。先日行ったマリーナは寂しいオーラが漂っていました。施設はりっぱなんですが、人が居ない。それだけじゃない、何か楽しさが欠けているような気がしました。具体的に何か?と聞かれると困るのですが、ですから難しい問題かとは思います。

キャビンヨットが大勢をしめる中、キャビンが使いきれないのは、国民性ばかりか、こういうところにもあるのかなと思います。自分のヨットがいかに快適であっても、マリーナ全体が寂しいオーラを発してますと、どうもキャビンで過ごしても楽しさが半減するような気がします。キャビンで過ごすには、マリーナ自体が楽しい場所でなければいけないような気がします。逆に、マリーナが楽しい場所なら、キャビンがそれほど充実していなくても、楽しめるような気がします。

以前、広島の二つのマリーナに行った時ですが、ひとつは近代的で大きなマリーナでした。その時は人もそう多くはなかったのですが、何か良い感じでした。レストランは海に向かってオープンで、芝生が植えてあり、その先にたくさんのヨット、ボートが係留されてます。遠からず、近からず。風景も良い。そのレストランには朝からお客さんがたくさんつめかけます。イタリアンのカジュアルでこじゃれたレストランでした。また、もうひとつは島の自然の風景をうまくいかしたマリーナ、近代的というより、自然で、まかなか落ち着ける感じ、ここなら何日か居てもいいなと思いました。マリーナというのは非常に難しいと思いますが、是非、何か工夫して、楽しいマリーナを演出して頂ければと思います。

海外に行きますと、結構楽しいマリーナが多く、海岸沿いにレストラン、土産物屋、ヨット屋もあれば、艤装品を売ってる店、ヨット関連のグッズが数多くあり、ヨットに関係無い方々でも、そこに居るだけで楽しい雰囲気を味わえて、そこにしか売って無い物もあり、ぶらぶらしてるだけで楽しくなります。おまけに、そこに係留されているヨットも一様では無く、いろんなのがありますから、ヨット見てるだけでも楽しいです。ですから、桟橋にはたくさんの人達が居て、コクピットでおしゃべりしている連中、ちょっとしたパーティーをしている連中、掃除していたり、ニスをぺたぺた塗装している親子、いろいろです。それで近くに寄っていきますと、どこから来た?一杯飲んでいけとかすぐに声がかかる。ヨットを見せてくれとか言いますと、彼らのヨット自慢。彼らは本当に楽しそうです。これらはもちろん国民性も関係していると思いますが、マリーナの雰囲気もあるような気がしますね。

また、大きなマリーナでは無くても、海岸線を車で走ってますと、ポツポツと小さなマリーナがあります。それらにはポンツーンが無く、前側だけ桟橋があり、後部にはたいて、2本の太い柱が立っていて、そこに係船ロープで繋がれて居ます。艇数も少なく、でも、何か良い雰囲気なんですね。これは海外独特の建物とか、風景とかそういう影響もあるかもしれません。日本では無理なのかと言いますと、前記しました例もあるので、決してそうでは無いとは思いますが、せっかくこれだけ多くのヨットがキャビンをしっかり持っているので、それを盛り上げる雰囲気造りを何とかお願いしたいです。そうすれば、マリーナが賑やかになって、もっと多くの方々がマリーナに来ます。そうすると、楽しくなります。楽しくなると、キャビンで過ごす人も多くなる。それでキャビンヨットは売れますが、同時にセーリングを楽しみたいという方々も増えるはずです。ですからみんな良いんです。是非、楽しいマリーナをお願いします。

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